ギブスが取れて散歩がてら、近所で買い物するようになり、外を歩いていると、近所の人やお店の人に「どうしたの?」「噂は聞いてたわよ!」などと声を掛けられる。苦笑
毎回事故の詳細を説明するのだが、とはいえ、外で人と会って話すのはやはり気分転換にもなる。また、久々人間観察もできる。笑
それにしても、バスに数回乗ったが、意外に席を譲られない。座席によっては一段高いところだと、再び降りるのも怖いからそれだったら、端に立っていた方が良いのだが、今月は定期券を更新していないので、回数券をまずガッチャンしなければならず、混み合っていると杖では機械の場所までたどりつけない。万が一検閲が来たら、松葉杖で移動できなかったと言おうか?などと頭をよぎる。笑
それにしても、バスの中は既に夏休みなので子連れが多く、またお年寄りも多いので、はたからあまり病人、怪我人にみえない私は席を譲られないのだとわかった。もちろん、松葉杖を持っているのだが…そこまで見て気づく人は少ないのかもしれない。私の目の前で座った人が片っ端から、「座りますか?」とお年寄りに声をかけていたが、やはり私はスルーされた。まあいいんだけど…。
余談だが、妊娠中もお腹が目立たず、席を譲ってもらえることがなかったな…苦笑。まあいいんだけど…。
ところで、今日スーパーのキャッシャーが長蛇の列となっていた。小さなスーパーでキャッシャーは2つしかないが、列ができている割に1つしかキャッシャーがあいていなかった。
私の前にはアラブ系の小学生の男児が、母親に頼まれたのか、マニュキュアの除光液を一つだけ持っていた。彼の前にいるおばあさんたちは、彼を先に通してあげればいいのに…と思っていたが、誰も気づかないのか言わない。私は両肘で松葉杖をささえ、片手にかごをぶら下げ、途中からはかごを床に置き、杖でかごを押していたが、彼は、私をちらちら見て、「Passa!」と言って自分の前を行くよう指差した。気の毒と思ったのだろうか?苦笑 「私は大丈夫。君の方が商品一個しかないでしょ?」と言った。優しい子もいる。世の中、捨てたもんじゃない!と思った。
そして、私の脇を買い物をしないおじいさんが通り抜けて、外に出て行った。欲しいものがなかったのか?それともこの列に並ぶのが面倒になったか?と思った。
スーパーを出て、隣のエジプト人経営の八百屋へ行くと、上記おじいさんが買い物をしていた。大きな独り言を話している!と思ったが、どうも店主の話す言葉をオウムのように繰り返し、冗談を言っているようだった。おじいさんは自分で商品を選んでおり、時間がかかりそうだったので、既にキャベツとズッキーニを選び支払うだけだった私は、キャッシャーでおじいさんを抜かす形になった。
すると戻ってきたおじいさんは、「やっぱり今日はこれだけだ!」といって少量のチェリーをキャッシャーに渡していた。
「なんで?」とエジプト人店主。
「今日は、これから食事に行くんだよ。誕生日なんだ!」といって腰を振っていた。
「今晩は踊りにでも行っちゃおうかな?」
そこで思わず私も彼らの会話に入り、
「Auguri!!おめでとう」と声をかけ、ついでに「おいくつになられたんですか?」と尋ねると「85だよ。」という。店主が私の顔をみて、「なんだって?」というので、「85歳。オット チンクエ!」と言ったが、あまりの若さに驚いた。しかも、結構おしゃれをしており、若い頃はさぞイケメンであっただろう!と想像する。
「Complimenti!!」素晴らしい!と言って、再度お祝いの言葉をかけて店の外に出たが、あのチェリーの量だときっと独り身なのだろうか?と想像した。立ち止まって振り向くと、鼻歌を歌いながら出てくるおじいさんがいた。その歩き方は、背筋も伸び、さっそうと歩き、生きるエネルギーを感じるものさえあった。
そう言えば2日前、メルカートで、ガラガラキャスターを持ったおばあさんがふらふら歩いており、私にぶつからないでよ!来るな!来るな!と思っていたら、近くにいた男性の足にキャスターがぶつかったといって、「なんでそんなところにいるのよ!」と大声で怒鳴っていた事を思い出した。いやいや、貴女のガラガラが邪魔だったんでしょうが…と思ったが、いきなり怒鳴られた男性はびっくりした様子で言い返しはしていなかったが、気の毒に思えた。逆に怒鳴り散らす女性の様子は惨めにさえ思えた。
人間性は顔に出る。
生まれた時の顔の要素はあっても、生き方、内面性が外に出るわけで、鏡に映った自分が「気難しい顔」をしているなら、「疲れ切った顔」をしているなら、それが、今の自分の「生き方」というわけだ。
やはり、人の振り見て我が振り直せ。笑顔の素敵な人、感じの良い人は、人に安心感を与え、その場が和む。
外に出歩き始め、人間観察し、生き方を改めて考える。