やっとこの日がやって来た。ギブスを取って骨の状況を見る日が...。
しかし、目が覚めると、窓の外はゴロゴロ雷が…大雨が降るのか?車で病院入り口まで送ってもらっても、受付に入るところまでは車では入れず、屋根もない。あんなところ松葉杖で行くの嫌だわ…しかも、人の傘の雨だれで床が濡れて、滑ってしまったらどうしよう?不安が走った。
しかし、家を出る時には、晴れ間が出ていたが、松葉杖で外を歩くのは、まだまだ不安。今日は自分のカルテ云々を斜めがけに掛けられるバッグに入れ、トボトボ歯を食いしばって出かけた。とにかく、増築、増築を繰り返した病院は迷路のよう。方向音痴の私は、巨大な院内に入ると、全く位置関係が分からなくなってしまう。そういう時に、声をかけてきてくれるのは、いつもイタリア人のおじいさんなんだなあ。「どこまで行くの?」「すごいギブスだねえ。」「きっとすごい怪我をしたんでしょう…?」私は爺様キラーか?爆
9時45分のレントゲン予約。先にギブスを取ると言うので、整形外科へ9時に入ったが、先にレントゲンの予約がある旨を告げていたにも関わらず1時間も待たされた! ギブスを切り取るギプスカッターは、ピッツァを切り分けるカッターにモーターが付いたようなものだったが、皮膚に刃が届かないか?ドキドキし、体に力が入ってしまったくらいだ。その後もペンチのようなもので、剥ぎ取るように力任せに引っ張られ、足が浮き、一瞬足首がグネっとなった時は、思わず声を上げてしまった。それは、痛いというよりも、足首が一つの固まりのような感覚だったので驚いてしまったのだ。
ギブスが剥ぎ取られた膝下は、細い骨だけになっていたが、最後にがばっと足の周りを取ると、想像以上に赤黒くむくんでおり、指まで紫がかっていた。すっきりした、というよりも、得体のしれないものが足先についている…そういう感じであった。



その後、1階上のレントゲン科へ移動。夫はまだ来ず。一人でトボトボ…。待合室で素足のままのむくんだ左足を上に挙げて座っていると、真っ黄色の看護師服をきた看護師が、私の真似をして片足をあげてどうぞ!と笑った。パーデンネンか?昭和~。

再び、整形外科へ。もともと10時25分の予約であったが、時間的には15分の遅刻。しかし、すごい人が待っているではないか!診察室は3つ。ドクターや看護師たちが出たり入ったりしている。完全予約制なのだが、どうも翌日の予約の人が二人も来てしまったと耳にした。
骨がついているかどうか、ドクターははっきり言わなかったが、私の足首を動かし、「痛いか?」と聞くので、たまに疼痛はあるけれど、我慢できないほどではないとこたえると、「では、ギブスシューズで3週間。1か月後に再診察。」と端的に言われた。「あの~仕事は?」というと、「職業は?」と聞かれたので、ベビーシッターをやってる旨伝えると、「ダメ!」の一言であった。そりゃあこの足じゃね… 思m思わず一瞬にして、ホームドクターに病欠の証明書を出してもらい、テラピーの予約、靴の準備、シッターの代理の依頼云々、やるべきことが頭を駆け巡る…。
次回1か月後の予約を取りに再度階下へ…。松葉杖をついて一人で来ているような患者は私一人。夫に期待はしていないが、やっぱり一人は虚しい。予約のための受付番号を取ったつもりが、間違ってチェックインの番号を取ってしまい、並びなおしていると、私の名前を呼ぶ人が…。同じアパートのおばあちゃんであった。彼女には、松葉杖を借りている。「あと1カ月貸してね。ギブスシューズもあったはずなんだけど、見つからなかったから後で買いに行かないと…」というと、「たぶん、あるわよ!」と。
彼女は子供4人に孫が9人、ひ孫が4人。子供の自転車からスキーやらなんでもとっておいて、家族で回し続けているが、松葉杖、ギブスシューズ、肩や腕の骨折用のサポーターやアームバンドもあるからね、という。いやいやそこまでは遠慮しておきます…と言った。彼女は80代半ばだが、自転車で来ていたので、先に帰るわね、と言い、病院を後にしていったが、帰宅すると玄関前にギブスシューズがぶら下がっていた。持つべきものは友人とご近所さんだ!
いやいや、脱ギブスは嬉しいが、結局足の理学療養を進められた。あちこち調べたが、どこもすぐに予約が取れず。やはり近所が一番だろう。とにかく保険が効く診療はすぐに予約は取れない。家の前にある病院に30分ほど電話をかけ続けたら、つながったが、保険診療は年内空きはないと案の定断られた。では、保険外診療で良いと言うと、来週の水曜日に予約が取れた。初日は100ユーロ。何回通うかは、診療次第。仕方ない。
それから「ギブス外したら、すね毛がぼうぼうじゃなかった?」と友人からメッセージが来た。「ぼうぼうというほどじゃなかったけど、数本伸びてた。」と言って笑った。
ギブスを外して、すぐに歩けるとは期待していなかったが、やはりこの状況を見てちょっぴり気落ち。それでも脱力する笑いは、逆に心配しすぎてもどうしようもなく、なるようになる!という安心感さえ与えてくれる。
しゃーないわ。リラクゼーションとは、広辞苑によれば「心身の緊張をときほぐすこと、リラックスすること」だというが、医学大辞典によれば「一般的に息抜き、くつろぎ、休養、骨休め、気晴らしなどといい、また筋肉にかかる緊張やストレスを取り除くために行う運動を指したり、心身のコントロールを図ることを意味する」とある。
文字通り、骨を休息させている最中だ。笑 無理ない程度に頑張ろう。