奇跡の自転車 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

12、3年ほど前に帰国した友人から自転車を頂いた。

 

初めの頃は、セッジョリーノと呼ばれる幼児用の椅子をつけていたが、確か体重15キロがマックスだったように記憶している。何度かどこかしらが外れたり、調子が悪くなるたびに自転車屋に見てもらっていたが、その度に「シニョーラ、15 キロ以上の子供は乗せちゃいけないよ。」「シニョーラ、子供はすでに15キロを超えているだろう?」と注意され、確かに後ろに乗せていた次男がある年齢からいきなり太り始め、それが原因だろうとは思っていたが、仕方なく乗せるのは諦めた。笑

 

次男の送り迎えに乗らなくなってから今度は長女が高校に通うのに自転車を利用し始めた。我が家からだと片道6-7キロである。学校が終わると、自転車でどこまでも行き、これまた扱いが雑で、籠は壊れるわ、ライトは割れるわ、そして直す度にすぐにまた歪んだり、おかしくなるのでしばらく放って置いた。

 

毎年夏に1−2ヶ月帰国する際は、家のなかに入れて行ったが、それでも戻ると、大抵メンテナンスをしなければならなかった。

 

自転車のタイヤの寿命は一般的に3000キロ程度と言われているが、我が家の場合、1年、長くても2年に1度はタイヤを交換していた。すでにブレーキ、籠、ライトにサドルも数回ずつ交換しており、下手したら買ったほうが安いくらいちょこちょこお金はかけていると思う。しかも鍵のチェーンも何度変えたことだろう。金額もピンキリだが、チェーンのための鍵をなくしてしまい仕方なくチェーンを特別なペンチのようなもので切ってもらった直後、鍵が見つかった!という事も数回あった。

 

ところで、ミラノでは(きっとイタリア中だろうが)自転車泥棒が多い。盗んで乗っている、というよりは、泥棒市に出されてしまうのだろう。また、駐輪している自転車のタイヤだけがなくなっている事もみかける。私の自転車は一度も盗まれた事はないが、長男は買ったばかりの新しい自転車をアパートの敷地内に置いておいてすぐに盗まれてしまった。路上に置いておいたら、ある意味仕方ないが、アパートの敷地内で盗まれるほど悔しい事はない。

 

 

近所の人は、やはり盗まれてしまい、泥棒市にいったら明らかに自分のものだというものが売られており、近くにいた警察に言って取り戻した、という話を聞いた事がある。それに関しては、警察に届けを出していないといけないようだが。

 

それにしてもさすがに長く乗っていると、ペンキも落ちてきてしまい、当時ミラノ市内でもあちこちのエディコラ(新聞スタンド)のシャッターなどに絵を描いていた画家の友人に描いてもらおうと思い、ざっくり値段を聞いてとんでもない金額だったので諦めた。

 

 
それこそ、すぐに盗まれてしまいそうだ。
 
結局ペンキが剥がれて来たところは家にあった黒のスプレーをかけてみたら、とりあえず違和感なく黒におさまって!ここ数年はその繰り返しで、どこへ行くにも、「年季入ってますねー」「もはやヴィンテージですね」とギリギリと言うか、仕方なく持ち上げてもらっている感満載なのだが、これが逆に盗まれない理由となった。どこへ置いて行っても、戻った時なかったらどうしよう?と言うかドキドキ感ではなく、待っていてくれると言う安心感。笑 ひどい時は、鍵が壊れているのだが、新しいものを購入しておらず、とりあえず鍵をかけている振りだけして置いておく。苦笑
 
1年弱帰国していた時は、アパートの入り口近辺に置いておいたが、地下の駐輪場へ移動するよう近所の人に言われたようで、逆に雨風に攫われることはなかった。
 
とは言え、タイヤの空気は抜けており、自分で入れたが、どうも後ろのタイヤにヒビが入り始めている。時間の問題だと思った。
 
そして走行中、やたら重くこのままじゃ無理だと感じた。止めてタイヤの状況を見ていたら、通りがかりのおじさんに、「空気が抜けてるね、修理した方がいいよ。この裏に自転車屋あるの知ってる?」と声をかけられた。行きつけの自転車屋だ。直接行ってみた。見た途端に、「もう古いよ!」と言われてしまった。タイヤが?自転車が?使える限り乗りたいんですけど。後ろのタイヤの交換を頼んで置いていった。30ユーロなり。
 
前のタイヤも替えるべきだったか?通常前よりのも後ろの方が痛みやすい。そういえば上記の画像の自転車は後ろのタイヤだけ盗まれていた。どこに置いていても安心だった自転車だが、しばらく後ろのタイヤの心配をしなくてはいけなさそうだ。