美しい見知らぬ女 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 
イタリア語の授業でイタリア人作家のアキッレ・カンパニーレ(Achille Campanile)の短編小説を読んだ。シュールなユーモアと言葉遊びで知られる作家であり、分かりやすい内容だったが、そんな話ありえるかあ?!としっくりこなかったなあ。笑 
 
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ある晩、私は外国の遠くの都市を旅行していた。それは、ロシアで過ごした最後の日であり、イタリアへ戻る列車を待っている間、駅のレストランで夕食を取っていた。そして、私のテーブルからそう遠くない場所に、非常に美しく若い女性がいることに気付いた。
 
残念だ、私の人生において彼女に会うことは二度とないだろうと思った。
 
暗いぼんやりとした列車はもうすぐ私を暖かいイタリアの空へ向けて連れ戻してくれるだろう。しかし、もしもっと前に会っていたならばとても愛したであろうあの女性の美しい目と穏やかな額を見ることは決してないだろう。
 
私は寝台車の所定の席に行き、簡易ベッドを準備し眠りについた。翌日、私は他の旅行者と共にに食堂車へ向かう際、驚いたことに、個室キャビンで本を読んでいた美しい見知らぬ女性を見かけた。それからまた、私は電車を乗り換えた駅で彼女を一瞬見かけたが、群​​衆の中ですぐに彼女を見失った。彼女を追うことはできなかった。
 
ドイツの国境で、手荷物検査をする際、私は誰を見つけただろうか?美しい見知らぬ人だった。残念ながら、税関の愚か者がが私の時間を無駄にし、彼女が何番線へ向かったか見ることができなかった。
 
ベルリンで再び電車を乗り換え、食堂車へ朝食を取りに行く際、奥のテーブルで誰を見ただろうか?美しい見知らぬ人だった。非常に美しい見知らぬ人だ。
 
しかし、彼女は私に気づきさえしなかった。彼女のコンパートメントには空席はなかった。従って、どこかしらの駅で彼女は下車してしまうだろうと思いながら、私のゲームは終了した。
 
フィレンツェでは、もう美しい旅行者のことは考えなかった。新聞を買いに下車した時、私の乗っている電車の車窓から外を見ている彼女を見かけた。間もなく、私の最終目的地であったローマで彼女に再会した時の喜びはお分かりになるだろうか?
 
ここで..私は言った。私から逃げないで..
 
彼女はタクシーに乗り、私も別のタクシーを捕まえ彼女を追った。彼女が私の家の門の前で降りるところを見た時の驚きを想像してみてほしい。私は、歓喜の心で彼女の後ろから階段を駆け上った。
 
それは、私の部屋のドアであった。要するに...彼女は、私の母の学生時代の同級生の娘さんであり、そして我が家の客人であった。
 
ロシアの見失われた町の遠い駅でちらっと見かけた見知らぬ旅人は、出発の夜、決して戻らない国の数千人の通行者の中からふと現れ、私の妻となった。