2016年、イタリア•レンツィ前首相の時代に、18歳(イタリアでは18歳で成人とみなされる)を迎える新成人に世界最大の文化的遺産を伝承する一員だと感じて欲しい、ということで本やコンサート、映画、美術館、音楽などの文化的な用途に使う資金(Bonus CulturaまたはBuono Renziとも呼ばれている)として500ユーロが支給されることが決まり、同年10月から支給開始された。
この計画が発表された歳、レンツィ元首相は若い有権者を獲得するための手段にすぎないとの批判もあった。しかし、その翌年18歳を迎える人にも続けられるかどうか提示されていない、といういかにもイタリアらしいことがあり笑ってしまったものだ。
が、昨年1999年10月生まれの長男も18歳になり、このボーナスを獲得。映画を見たり、美術館にも足を運ぶようになり、それはそれでいいことだと思っていた。
しかし、最近になって、このボーナスは、続行されるものの紙または電子書籍の本のみに使われるという内容に変わった。2016年の統計によると、資金供与した約80%が教科書(特に大学の)に使用されていることがわかったという。(確かにイタリアの教科書代は非常に高い!)
その割に若者の読書率が非常に低いようで、このボーナスを利用し、是非本に親しむきっかけになれば....という方向に変更したようだ。
ちなみに昨年、日本の文化庁による調査によると(下記添付参照)日本でも国民全体の「読書離れ」や「活字離れ」が指摘されている。これは、近年の生活環境の変化や様々なメディアの発達、普及などの背景があり、ネット上で拾い集めることができれば、それで良い、という考えかたも増えているのだと思う。
しかし、読書することは、「考える力」、「感じる力」、「表す力」等を育てる共に、豊かな情操を育み、全ての活動の基盤となる「価値・教養・感性等」を生涯を通じて涵養していく上でも、極めて重要である。また、特に、変化の激しい現代社会の中、自らの責任で主体的に判断を行いながら自立して生きていくためには、必要な情報を収集し、取捨選択する能力を、誰もが身に付けていかなければならない。
家庭や地域との連携として、読書の習慣づけのため図書館利用も大事だが、どのような形であれ、本を読む習慣は重要。
日本では、都道府県の成人のお祝いといえば、記念式典があり、記念品が贈呈されるが、うん10年前、私は市からアルバムをもらったような気がする...(定かではない!)
そういう意味では500ユーロの図書券(最終的には、本専用になるのなら今後は図書券、と呼ぶべきだろう)は非常にありがたく、若い、頭の柔らかい時に、是非良書に触れておくべきだ...と思う。さすが、イタリア!
子供の読書活動に関する現状と論点
