代筆 〜 字は人を表す? | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

訪問している養老院のシスターPは、お若い頃、薬剤師でハンセン病の薬を開発されていたが、何かの問題で薬品が爆発し、ガラスと薬品が飛び散り、顔や手に大怪我を負い、また失明され、眼球の移植手術も受けられているが、結局現在は片目しか見えない状況だ。

 

それでも数年前まではご自分でメールも打っておられたが、今では視力もかなり落ち、また指先にも力が入らないというので、前々から手紙を書かなくてはならない、ということで代筆を頼まれた。

 

だが、実際は訪問の時間がギリギリだったり食事までの時間の制限がありなかなか実現できなかったが、今日は余裕があったので、「お手紙を書きましょう」といって準備をした。

 

最近は、歩行器でかなりゆっくりだが歩けるようになられたが、以前のように聖書の会にも一緒に参加したいし、日本人会のクリスマスミサにも参加したい、といいつつ歩けないと看護師のシスターからオーケーが出ないので、頑張っているご様子。

 

最近、訪問すると歩いて何処かへ行ってしまい、行方不明になり看護師のシスターと院内を探し回ったことも数回。苦笑 まさか、エレベーターで降りてしまったのでは!と思い慌てて下の階を探しても見つからず...実は、友人のシスターの部屋に入り込んでおしゃべりをしており、大声で叫んでみたものの、聞こえなかった!という笑い話さえある。ちなみにそこには、80歳以上のシスターたち50数名が住んでいる大所帯。しかも皆耳が悪いから声も大きい。その中で、受付も現役看護師も80歳代のシスターというすごいところで、70歳代だと若いな...と感じてしまう。笑。また外国人を含むヘルパーさんもおり、私が行くと「友達、今日は!」と声をかけられる。

 

今日は、いつも使用しているお部屋まで車椅子で連れて行って、と言われたので、シスターに車椅子を準備し、押していると婦長のシスターに「なぜ歩かないの?」と聞かれたが、シスターPは「急いでいるから」と答えた。なぜかその答えがおかしすぎて笑いが止まらず。案の定”furbetta!"抜け目のない人ね〜と言われていた。

 

さて、今日は3名宛に手紙を書いて欲しいと言われ、その方達からのお手紙を渡された。読んでくれる?と言われ、代読。聖書の会では聖書の音読をするが、人様の手紙を音読するのは、何気にいいのかなあ?という思いもよぎる。しかし、素敵な内容のお手紙は、相手がこれまた素敵な方なのだろうなあと想像する。

 

肝心なお返事。やはり手紙は素敵だが、私は字には全く自信がないので、ああ達筆な人は羨ましい!と思ってしまう。子供の頃、お習字をならっておりこれでも初段までは行ったのに、なんじゃこのミミズの這ったような字は?といった感じ。

 

「書は人なり」「字は人を表す」という。手書きの字には、書き手の性格や人柄が表れる。ちなみに筆跡に書く人の人間性がどう表れるか心理学的に分析、研究する「筆跡心理学」というものがあるらしい。私なんぞ、文字は大きく、筆跡も強い。大雑把と言われそう。爆

 

どの手紙にも、⚪️⚪️さんが代筆してくださいました、と言われるまま書き、嫌だわ〜、と思わず思ってしまった。苦笑 文章の後に、シスターの署名していただいたが、今日12月3日は日本宣教の保護者、聖フランシスコ•ザビエルの祝日であり、その旨が寄せられていた。

 

ちなみに代筆の理由として、視力低下と筆圧が低いので...と書いておきながら、私のペンを差し出すと、「あらっ?!」というシスター。これ、力を入れなくても書きやすいわね?とシスター。さすが日本のボールペン。ゲルインクボールペンは、持ちやすさはもちろん、とにかく書き味が良い。はっきりと見やすい字が書ける。「筆圧が低い」といってちゃんと書けるじゃないの?とボソッ。笑

 

「下手な文字でも、丁寧に書けば気持ちは相手に伝わる」と思いつつ、やはり下手な文字はイメージ的にマイナス。嗚呼、劣等感。 先日、自らの結婚報告を手書きでされた女優の中谷美紀さんの字が達筆すぎる!と感嘆されていたが、「字まで綺麗すぎ!ずるいわ...」と思ってしまったのは私だけか?

 

無い物ねだりだが、字が綺麗な人は羨ましい限り。