ミラノの交通公社(ATM)の定期券は、ミラノ市内に関しては、1ヶ月間大人が35ユーロ。学生が22ユーロである。数年前にどっと値上がりしたので、高いなあ、という気がぬけないが、それでも日本に比べたらさすがに安い。だからと言って、ATMの職員たちは、シフト制になっており、月に何日、何時間働いているのかは知らないが、給料は手取りで1000ユーロを下るという。だから、しょっちゅうスト(ショペロ)を起こされても仕方ないなあという気もしなくもないが、気の毒な話である。
昨年、地下鉄のM5(エンメ•チンクエ)また別名、藤色の”リネア•リッラ”が通ってからこの5番線の駅が近所なのでよく利用しているが、新聞を見ていると、しょっちゅう地下鉄にボンバ、つまり爆弾が仕掛けられた?情報によってしょっちゅうさービスが止まってしまった、という話を聞く。しかも、毎回どれもガセネタ。
ところで、昨夜は空手の稽古でサンタンブロージオ支部に出かけていた。先週はストだと思っていたので、自転車で出かけたが、再び通常通り地下鉄M5で出かけた。ちなみにdoor to doorで40分くらい。帰りは珍しく、次男がトラムで帰ろうよ、というので、街中から地元S.Siroまで走っている16番トラムに乗らなくてはいけないため、停留所まで本来だったら内環状線を走っているバスに乗っていくが、現在別の地下鉄M4(なぜか5番の方が先にできた!)工事のため、内環を回るバスは迂回中。また別のバスも通るが、順路の通りがガス工事のため、またまた迂回中。仕方なく歩いて行った。
トラムに乗ってから、実は翌日(今日)空手の昇級試験があり、稽古の際、注意を受けた部分をメモ帳に書き込んでいた。途中夫から電話が入り、何時に帰宅するのか?長男は?次男は?という確認があったが、しばらくして、どこからともなくカンカン鳴っている音が聞こえた。本来ならばトラムのクラクションのようなものだ。しかし、どのトラムが?なぜに?外を見ると、トラムの前を走っている数人の男性。そして、信号待ちだったのだが、外から大勢の人が、トラムの扉を叩いている。何が起きているの?「全員降りてください。」という案内が入った。後ろの方から「臭い」「臭い」という声。
...もしや、爆弾?火事?
たった2車両の路面電車だが、降り口が一箇所しか空いておらず、皆前の方へ進みんで行く。それなのに「前から2番めの出口から出てください。」とアナウンス。だってそこは空いてないって!少なくとも乗客が誰もパニックになっていなかったから良かった。
降りて初めて気づいたのは、はじめにカンカン言っていたのは、後ろに操車場へ戻るトラムが来ており、私たちが乗っていた車両に異常があったことを知らせるために、カンカン鳴らしていたようだ。そして、たまたま信号待ちで止まった場所が、Feltrinelliという本屋の前で、そこの店員がトラムの底から煙が出ていることに気づき、店の消火器を持ってきて消してくれていたようだ。
歩いて5分ほどのところに、地下鉄の駅。そしてバスの始発の停留所やトラムの停留所があるので、皆そちらの方向へ歩き出した。仕方なくバスを待ったが、一本は夜はサービスなし。一本は行ったばかりなのか?8分待ち。遠くからトラムが来るのが見えたが、結局煙の出たトラムと、その後ろにいたトラムが操車場方面へ向かっていった。やってきたバスは、始発なのに鮨詰状態。まあ仕方ない。もともと乗客にイタリア人が少なかったせいか、パニックになる人も少なかったのかもしれない。また、文句を言う人も少なかったのがイタリアらしくなく可笑しい。
無事に帰宅。ネットでATMのツイッターやらHP、ニュースもチェックしたが、何も出ておらず。日常茶飯事すぎるからか?
心臓が止まりそうな瞬間だったが、意外に周りが落ち着いていたので、必要異常にパニックにならなかったのが幸いの不可解な経験だった。
