この画像を見たら、この惨事を目前にし、目が見えず、耳が聞こえず、無関心のままで良いのだろうか?と疑問をもつのが血の巡っている人間なのではないだろうか? そして、自分たちには何ができるのか?また、自分らの生活がどんなに恵まれたものか感謝しなくてはならないだろう。
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夏休みが明けてから、あちこちで黒人男性の物乞いを見かけるようになった。メルカート、パン屋やバールの前、信号待ちをしている車の合間を通り抜けながら、彼らは、キャップを逆さまにして物乞いをしている。
ところで、夏休みのオラトリオで遠足に行った際、あるソマリア人の少女の面倒を見た。どうも目の焦点が合わず、一人で歩けない。兄弟はいるらしいけれど、どうも母一人子一人でミラノにいるらしい、と耳にした。
夏休み明けの、オラトリオの特別プログラムでまた彼女に会った。その時、初めて少女の母親に会い少しおしゃべりをした。「何人子供がいるの?」と聞かれたので、3人と答えると、彼女も3人と言った。「パルーアの上に高校生の子供が二人いるの。」。今どこに? 彼らには会えないの?と聞くと、彼らは自分の両親と一緒にソマリアにいるけれど、もう私はソマリアに帰れない。戦争から逃げてきたの。だからソマリアに戻ったら殺される、と淡々に語った。ちなみにご主人はアメリカに脱出したんだという。けれど、彼もまたソマリアに帰ることは無理だという。
6年前、彼女は自分の兄弟、姉妹たちと命からがら、それこそTVで目にする寿司詰めのボートに乗って、リビアから海を渡ってきたという。当時彼女は第三子妊娠に気づいていなかったという。したがって、イタリアで出産。今に至っているようだ。
世界人権宣言
第14条
1すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。
しかし、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定、いわゆる「シェンゲン協定」では、締約国間でのヒトの自由な移動を保障するものではあるが、難民に関しては、一番初めに入国した国で、滞在許可を申請し、受け入れ国の返事待ち。その間に就学児がいれば、義務と権利としてその国の学校へ通うことができる。
話を上記母子に戻すと、彼女は子供の手当として月に300ユーロもらっているという。住むところも、いわゆるポポラーレと呼ばれる低所得者地域のアパートに入らさせてもらっているようだが、いくら子供がまだ小さいとはいえ、月300ユーロではとてもではないが生活はきつすぎる。しかも、パルーアは何か障害を抱えている。今後、中学までの教育は保証されても、その後はどうなってしまうのだろう。そして、街中、特にミラノのサンシーロ地域のポポラーレ地区もかなり敷地の管理さえも住民が支払えないため、壁が落ち、下手したら、ベランダさえ落ちるのではないか?というような廃墟同様のところもある。たとえ入り口をコンクリートで固めても、夜になると電気が通っていな いアパートに明かりが灯され、人の気配がある。またやたらロム(ジプシー)も増えている。正式に申請し、ポポラーレの住居地に入居したのか、勝手に住み込んでいるのかは不明。
そんな中外国人拝斥を訴える極右の人間もいれば、どさくさに紛れて彼らを助けるフリ?をして、そこに勝手に住み込んでいるようなイタリア人もいる。国はどう考えているのかわからないが、郊外に新たに低所得者用のアパートも建ち並び、パルーア母子も年明けに引っ越すことになったという。ただ、明るくおしゃべりなパルーアは皆の人気者。一人で歩くのは、危なっかしいが常にだれか彼女を支える子供や大人が彼女の周りにいるだけでも見ていてほっとしていたのだが、彼女は怒りと悲しみをあらわにし、反抗的になっているという。新たな土地に移れば、またまた困難も生じることだろう。母親の話を聞いていて、彼女の目を見たら、涙が止まらなくなる気がして、とてもじゃないが、見られな かった。その話を、別のイタリア人の友人に話したら、泣いていた。
ところで、イタリアには約5万8千人の難民が住んでいるという。他のEC諸国では、ドイツには57万人。イギリスには19万3千人以上がいるらしい。
難民たちは、どのようにその資金を準備しているのかわからないが、国を出るために法外な代金を運び屋に支払って国を出てくる。それがどんなに危険を犯そうが、耐えきれない航海であろうとその後、悲惨な結末になろうとも、命をかけて逃げてくるが、行った国の待遇は決して良いものではない。
彼らは国に助成金をもらっているようだが、決してそれで生活が保証されるわけではないだろう。具体的な金額は知らないが、それでも年金受給者よりもお金をもらっているとはどういうことだろう?なぜ彼らはスマホなどを持ち歩いているのだろう?という批判も多い。また、逆に難民による犯罪も目立ち始め、さらに難民に対する冷たい目、そして入国規制も厳しくなる。
それもわからなくはない。普通に生活をしていても、かつかつの生活のイタリア人も多いのだから。
社会的、経済的に豊かな国と貧しい国の間での格差は大きい。(もちろん、経済的に豊かでも精神性が豊かとは言い難い国もあるが)豊かな国での飽食と消費文明...国際社会が抱える矛盾は大きい。
私たちができることは何なのだろう? 豊かな国にいて、答えが出せない自分が情けない。
