支払いの多い9月 ~ 貧困を考える | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

先日もちらっと書いたが、イタリアでは、義務教育でも教科書代は、小学生は無料。けれど、中学生は保護者の所得に応じ、年間約120万円以上の収入のある家庭(共働きの場合は二人分合わせて)は申請できない。(設定が低すぎないか?)給食代も保護者の収入に応じて、数段階にクラスが分かれるので、家庭によって給食費が異なる。

 

イタリアも少子化なんだから、もう少し、子供のいる家庭を援助してくれてもいいのに...と思うのは、私だけではないだろう。日本のように保育園や幼稚園に入れない、という話はあまり聞かないが、保育園に関しては、やはり親の収入によって、たとえそれが公立の保育園でも費用は保護者の収入次第。

 

決して、人種差別ではないが、アラブ人女性は働いていなくても、子供を保育園に預ける家庭が多い。次から次へと妊娠出産するが、働いていないのならば、家で見ることはできないのだろうか?彼女たちはほとんど低収入。つまり無料またはそれに近い支払い。そうすると、本来働いていて一番保育園を必要としている人が、すぐに入園の返事がもらえず悶々としている話はよく聞く。そういうところ、イタリアの役所は把握しているのかなあ、と思う。

 

それにしても、9月に入り、支払いの嵐。通常のガス•光熱費の他に、学校関係、習い事、アパート代云々。どれも数ヶ月分まとめてだから大きい。しかも、夏休み前に歯の治療が終了した!と思いきや、セラミックの歯3本(3本つながっており、奥の一本が義歯)が取れてしまった。だましだまし使っていたが、限界。9月の初めに一度セメントでつけてもらったが、再び取れてしまい、急遽見てもらったが、噛み合わせの問題と、一本義歯であるため、その負担が固定不安定につながったようだ、との話。

 

新たにセラミック(最低)2本分が必要だが、義歯の部分に何も入れなければ、将来的に噛み合わせの問題から背骨や体に支障を来す、という。かといって義歯の部分をインプラ ントにすると言っても、 歯肉の薄さや骨の状態を考えると大手術になるし、下手すると顔面麻痺やら副鼻腔炎などを引き起こすなんていうじゃないの!すでに鼻は弱いので、却下。いろいろ医師と相談し、見積もりを出してもらったら、300ユーロも引いてくれた割には、それでも2500ユーロ!とてもじゃないが、夫に言えない...

 

以前、イタリアと日本の国立大学の授業料の比較に関し書いたことがあるが、少なくとも長女はボローニャ大で学費も下宿代もミラノに比べればかなり安いので、助かっているが、それでもやはり子供に対して、ある意味投資である。愚息その1に関しては、今年度私立に転校したので、どれほどの犠牲が伴うか得々と説教。お金は湧いて来るもんじゃないんだよ。本来進級予定だった国立の高校の学年費をすでに130ユーロ支払っていたが、返金してくれるというので、手続きに出かけてきた。忘れてしまうところだった!それさえも、何かの支払いに回さないと、収入は全て支払いにクルクル回っていく9月。

 

それにしても、子供達が大きくなったら、生活が楽になるかと思ったらとんでもない。今がちょうど過渡期なのだろうか? 

 

ところで、日本だと月収25万円、年収305万円でも貧困層になるという。だったら、イタリアじゃあ皆貧困家庭になってしまうわ。苦笑 「貧困」という言葉には、貧しく生活に困る、という意味があるが、教育、仕事、食料、保健医療、など最も基本的な物・サービスが手に入らないこともいう。オラトリオのボランティアで一緒だった友人はシングルマザーで母親も一緒。昨年南イタリアからやってきた。学校の非常勤の収入で家族を支えているが、たとえ低所得者層のアパートでもそう簡単には入れず、1年間教会内に来客として住んでいた。彼女は、ローマ大学で日本の古典を学んでおり、非常に丁寧な日本語を話す。英語も綺麗で、実際には中学、高校で英語を教えているが、今のイタリアの教育界での雇用事情では、十分な契約も結べないそうで、全て法律の改正次第なのだという。

 

幾つかの心当たりを紹介したが、どれも断られたそうで、この9月の仮住まいも今月いっぱいで出なくてはならないという。どこかよい場所が見つかるとよいのだけれど...ただ、救われるのは、彼女達は常に笑顔であるということ。信仰もあつい。

 

貧困とは、「大切なものが欠けている状態」のことも言い、それこそマザーテレサがおっしゃった、心の貧困さはもっと深刻かもしれない。たとえ貧しく、生活は大変でも、物とお金では得られない、何か大事なものものもある。

 

どんな時でも笑顔を忘れないようにしないといけない。また、笑顔を必要としている人に、自然に笑顔をかけられるようまずは意識しておかないと!

 

 

http://ameblo.jp/sofiamilano/entry-12081893384.html