今週の1冊 ② 〜 よだかの星 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。



「よだかは、実にみにくい鳥です。...ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。」といった書き出しで始まるストーリー。思わずエレファントマンを思い出してしまった。

鷹でもなく、一般的な鳥でもない。それでいて鷹に匹敵する力を持っている。

たとえ差別され、周りにバカにされても自己の信念に生きようとするよだか。とはいえ、現代の社会問題である「差別やいじめ」問題を考えさせられる。集団の中で「異質」なものへ対しての差別感情、そして排除は、結局は、暴力と同じで、人を徹底的に破壊する力を持っている。

自らの運命に絶望し、青い美しい光となって空一直線に上り、星となるよだか。それはあまりにも切ない。

ところで、作者宮沢賢治は友人宛の手紙に、「生きとし生けるものは、みな美しき仏の種を宿す」と書いているという。仏教では「山川草木悉皆成仏」(さんせんそうもくしかいじょうぶつ)というそうだが、流れる雲、鳥のさえずり、木々のそよぎ...目に見えないものすべてのものを含め、この世に存在するすべてのものが、私たちの本来の姿に立ち返らせようとして、間断なく働き変えているという意味だという。

自分を含め、他者の命の重みをかみしめ、生(活)かされているという意識を忘れてはいけないと思った。命あることに感謝。