イタリアの医療制度は、国民健康保険(USL/ASL)による保険医療と非保険診療である自由診療に分けられる。国民健康保険に加入した外国人は、イタリア人同様に比較的定額で公立病院を受診できる。
駐在員一家などは、海外旅行医療保険などに加入していたり、会社がカバーしてくれているようなので、自由診療または、私立病院、あるいはクリニックを受診しているようだ。大抵、そこでは英語も通じるし,医療環境も良好だが,医療費は言うまでもなく高額。我が家は、夫の脱サラ以降は、保険医療なしではやっていけない。笑
プライベートクリニックは、公立病院や私立病院に籍を置く医師が掛け持ちで個人開業しているもので、あちこちにあるが、外来が殆どで、検査、入院などは、基本的になく、結局外部の医療機関にお世話になるようになる。公立病院は,常に混雑し、待ち時間も長く手続きも面倒。言葉がそこそこに出来てもこうなのだから、そうでない人は、まず精神的に滅入ってしまうこともあるかもしれない。
外国人の場合、滞在許可を取得さえすれば、あとは、とんとんと住民票やら身分証明書も申請できる。そして、保健所が契約している一般開業医の中から自らを担当する家庭医(Medico di base)を選択し、登録する。その家庭医なるホームドクターを通じ、医療サービスを受ける。ホームドクターは、診療・治療の他に薬剤の処方もするほか、専門医の紹介、検査の処方などすべて行う。Ricetta rossaと呼ばれる赤い処方箋は、保険扱いとなり、Ricetta bianca、白い処方箋は保険外となる。プライベートの医師に処方された薬を、ホームドクターのところは行き、保険扱いに書き直してもらうことも可能。しかし、手間隙かかるのが痛い。
前置きは長くなったが,今朝ホームドクターのところに出かけてきた。
診療所によっては、予約制であるところもあるが、そこは、早いもの順。曜日によって、10-12時、または午後5-7時の2時間しかあけられておらず、あく30分くらい前から行ってないと,一番には見てもらえないときもあれば,がらがらの時もある。今日は10時から診療。10時20分くらいにでかけると、人がまばらにいた。「Chi è l'ultimo?」誰が最後ですか?と聞いておくのが,基本。そうでないと、自分の後にまた、人が続々と来て,同じことを聞かれるからだ。
病院でありながら、待合室にいる人たちは,皆日焼けして黒光りしている。異様だ・・・ここは病院か?笑
日焼けして、ブルーのYシャツをきて、黒い大きなバッグを持った人は,いかにも医薬品会社の営業マン。だれかが「あなた、どれくらい時間かかるの?」と声をかけた。長居はするな?ということか。笑 「Dipende...」話にもよりますよ。でも薬の試供品を持ってきただけですから・・・とのこと。他のだれかが「自分は癌なのだが、どこの病院にかかったらいい?」と聞き出したから驚いた。「分野にもよりますが、○○と××なら信頼できるでしょう・・・」などいう話になり、いきなり耳がダンボ!笑
やっと私の番が来た。
8月の人間ドックの結果やら先日の腹痛について話してみたが、???という顔。「だって初めてコレステロールにひっかっかったんですよ。クレアチニンもひっかかりました。」というと、「数値は?」と涼しい顔で言うので、答えると「高血圧でもないわけでしょ?糖尿病でもない。タバコもすわないでしょ?お酒だってちょっとでしょ?だったらそれくらいの数値ぜ~んぜん問題ない!再検査?問題ないよ。」と一言。
そして「腹痛?前回エコー撮ってるよね?あれなんでもなかったよね?その後もエコー撮ってる?」と聞くので、毎年撮ってますが,とりあえず引っかかったことはありません、と答えると、「No problem!!」とのこと。そうなのかな・・・
まっ不思議なもので、ドクターにぼやくだけでも気が晴れることもある。事態が緊急な場合は、救急病院へ直行するしかないが、たまに行くと待合室の雰囲気によっては、一気に気分が暗くなる。ちなみに看護婦やアシスタントはいない。まっ事務処理全部一人でするドクターも気の毒だが、一応信頼したい人物なので、円滑なコミュニケーション、そして治療だけでなく、よりよい医療を提供してもらいたいもの。