カトリック教会は5月を伝統的に聖母に捧げた月としている。 私の通うパロッキア(教区教会)はBeata Vergine Addolorataといい、「神聖なる悲しみの聖母」とでもいおうか?お御堂にあるマリア像も、言いようのない深い悲しみと苦しみがにじみでている感じが漂っている。
聖母マリアの生涯は、「神の母」というには、あまりにも厳しいものだった。藪から棒といってもいい受胎のお告げにはじまり、十字架の元でわが子の苦しみと死の一部始終を見つめ、その冷たくなった無残な息子の姿を抱かざるを得なかった母は、そのほかにも「なぜ、どうして」とたずねたいことが数多くあったのに、そのたびにそれを「心に納めて生きた」強くも、美しい母であった。
苦しみあえぐ人々、傷つき悩む人々にとって、慰めと癒しをもたらす「母」として永遠に存在し続ける聖母マリア。
ところで、5月12日日曜日は日本もイタリアも「母の日」で、日頃の母の苦労を労り、母への感謝を表す日とされている。
3月に日本の母や母方の親類がお墓参りに行った際、もう80歳をこえた叔母が、そろそろぼけ始めてきているのか、もう20年以上前に亡くなった自分の母親がどこにいるのか?と言い出したのだという。そこで、別の叔母が墓石に彫られている祖母の名前と命日をいって、もうこの世にはいないのだといったら、墓石に抱きついて大泣きしたのだという。母は、「私も10年後にあーなっちゃうのかしら・・・」と他人事のようなメッセージを書いてきたが、子供にそれを語る際、涙が出てしまった。やはり、いくつになっても母親は母親なのだと。そして、自分が年をとり、苦労を知れば知るほど、自分の母親の苦労がわかってくるものなのかもしれない。
イタリア人の男性は、皆、自分のマンマの料理が世界で一番おいしいと豪語する。そこまで、言えるってすばらしいと思う。「世界中で一番よい母親」だと誇れるのは、すばらしい。
今日、友達のところに遊びにいった長女から、「夕飯は友人宅で食べて帰るけれど、遅くならないから心配しないで。TVB Mamma」とイタリア語でメッセージが入った。「TVB」とは、『Ti voglio bene』の略語で、あなたのことを大切に思っている。つまり「大好き」という意味。イタリア化してるよね。笑
十億の人に十億の母あらむも
わが母にまさる母ありなむや by暁烏敏(あけがらすはや・真宗の高僧)