今朝、ヴァチカンの聖ピエトロ大聖堂にて就任ミサが執り行われた。
昨日発表された、教皇・フランチェスコの紋章。
IHSをあしらった部分はイエズス会の紋章であり、イエス・キリストのシンボル。星はマリア、ぶどうのように見える部分はナルド(スパイクナード)の花でヨセフの象徴だという。*
そして、今日3月19日はサン・ジュセッペ。イエスの父、ナザレのヨセフの記念日であった。

132カ国の約20万人の人が集まったという。晴天に恵まれたローマ。「ピアッツァ・サン・ピエトロに来ているよ~!!』友達から電話が入り、画像も送ってもらった。あ~ん、私もその場に行きたかった。
この就任ミサには、敢てヴァチカンからは、招待状は出さないものだという。が、1054年の東西教会分裂から初めて、およそ950年ぶりにコンスタンティノープル総主教バルトロメオ1世が出席した。今後対話と和解が進むことだろう。また、ユダヤ教導師やその他の宗教の聖職者達も参列。
恒例のパパモービレで聖ピエトロ広場の会衆の中を手を振りながら回られた。何度か親指を立てるポーズを見かけた。赤ちゃんのみならず、車椅子の方の前で、車を止まらせ、抱擁と祈りを捧げていらした。病者の方にこういった姿を見せる教皇様は珍しいのではないだろうか。
そして、上記コンスタンティノープル総主教と共に、聖ピエトロ大聖堂地下に降り、初代ローマ教皇、使途聖ピエトロの墓前にひざまずき、長い祈りを捧げられた。
今日は聖ヨセフに捧げるミサとして、Custodire(守護者・守る(人))という言葉を何度も繰り返された。保護者の召命と責任。
政治・経済・社会を担う人へ命や人や自然を守り、世界の歩みに破壊と死が影を落とすことがないように願われた。また、すべての人に、自分自身の心を守り、人生を汚す憎しみや妬みではなく、優しさや思いやりを持つようにと勧められた。
「Non dobbiamo avere timore della Bontà e della tenerezza. 柔和、親切で思いやりのある態度をとるのを恐れてはなりません。」
人間的なすばらしいメッセージ。単なる言葉の使い方と個人的感じ方の問題かもしれないが、前々教皇・ヨハネ・パウロ2世もべネディクト16世名誉教皇もよく "non aver paura"「怖がらなくてもよい」、という言葉を使われた。けれど、言い回しが違うだけで、感じ方がこんなに違うとは。
「貧しい人に手を広げましょう。特に、貧しい人に。弱い立場の人に。小さい子供に。」
「イエスはピエトロに、教会を導く力を与えました。しかし、真の力は奉仕にあります。愛をもって奉仕する人だけが、民を守ることができます。ローマ司教としての私の使命は、奉仕し、イエス、マリア、被造物、すべての人々、特に貧しい人々を守ることです。」
心を打つお説教だった。
三浦綾子女史の言葉に「真の愛とは、愛するにふさわしいものを愛することではなくて、誰からもかえり見られないものに注ぐ愛をいうのではないだろうか」というのがある。誰もが見てすばらしいもの、高価なもの,便利なものを愛するのはやさしい。けれど、そうでないものにも存在する価値があるのだと、気づく心、気づく社会、教育をすることが大切なんじゃないだろうか。
お説教の最後に、「わたしのために祈ってください」とすべての人々に願われた。
聖家族を守り導いた聖ヨセフのとりなしによって、教皇・フランチェスコの上に豊かな祝福がありますように。
*ナルドの香油(スパイクナード・オイル)は、福音書の中で、「最後の晩餐」の前に、マグダラのマリヤがキリストの足に塗り、それを自らの髪で拭いたくだりがある。
片柳神父が早速、お説教をまとめてくださいました。
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