歯科恐怖症 ~ その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

以前、次男の歯医者恐怖症について書いた。http://ameblo.jp/sofiamilano/entry-11173797006.html 

そして、今朝、次男がついに、全身麻酔での抜歯に至った。結局5本。もっと虫歯の程度が軽いうちに手が打てなかったのか・・・歯質もあるし、イタリアの歯科医療(歯科医に限らないが)制度の悪さ、そしてあのトラウマからすると、もうどうしようもない結果だったとはいえ、親としての後悔も大きい。 

乳幼児の全身麻酔による歯科治療というと、時折、新聞等で麻酔事故が報道されたりすることもあり、どうしても一抹の不安がつきまとってたまらない一ヶ月だった。 

それでも、いろいろと調べたところ、部分麻酔だけでの抜歯は、患者に対してとても精神的苦痛を与える、という。たしかに、感覚は無くても、口元でがちゃがちゃ何かをし、音だけは頭に響く。自然に体には、力が入る。そういう場合は、たくさん出血するのだそうだ。切開、歯を機械で粉砕するのにも、結局時間がかかる。出血と切開は痛みを呼び、痛みから体内で分泌される物質は手術後の傷の治りを遅くさせる・・・と悪循環。 

さて、担当医は3人の子供をもつ医師で、麻酔専門医も4人の父親だという。だから、安心していいよ、といわれる。そうね・・・子供を扱う仕事は、実際子供を持つ人にやってもらったほうが安心できる事も多い。 

朝、仕事に出かけた夫も急遽駆けつけてくれた。こんなの初めての事だ。診察室に入った次男は、麻酔専門医に冗談交じりに話しかけられているのが聞こえたが、案の定,泣き叫び始めた。やはり麻酔の針を見たからだろう。すぐに、両親のどちらかが中に入るよう言われる。夫が自分から立ち上がって入っていった。なんだかんだ、なだめていたが、興奮している次男は叫ぶばかり。段々夫の声も大きくなってくる。もう気が滅入るなんてもんじゃない。しばらくして、「オ~、ブラボ~!!」という声がして、夫が外に出てきた。そして、医療ドラマではないが、血圧だか脈拍を測っている機械の一定の音が聞こえてきた。また、診療独特のキーンとかシューっという音がはじまり、治療が始まったんだね 、と確認。 

4,50分くらいして中に呼ばれる。本来4本抜歯の予定が、いざ抜き始めると、隣に重なっていた歯に穴があり、虫歯も進行し、膿がでていたので、それも抜いたとの事。次男はまだ豪快に眠っていた。 

声を掛けると、うなりながら目が覚めた。点滴を抜き、しばらくしてから待合室に移動。唇に違和感を感じ始め、泣き始める。麻酔の請求額が見積もりよりも、100ユーロも上で、こちらの方がうなりたかった。う・・・今後の治療もあと5回。予定よりも抜歯が一本多かっただけに、永久歯が生えてくるまでのケアにもまたまたお金がかかる。あ・・・精神的苦痛。経済的苦痛。そして、何と言っても、次男の肉体的苦痛も大きい。 

ところで、患者というイタリア語は「Paziente」。病人の事もそう呼ぶ。形容詞で「忍耐強い」という意味もある。ラテン語の「耐え苦しんでいる者」から来た言葉らしい。確かに次男をみていると、耐え、もだえ苦しんでいる者だ。 

親は、わが子が病み、苦悩し、絶望しかけている時こそ、わが子以上に心を痛めるんじゃないだろうか。この1年、国語教育でもやれ、あーだ、こーだと学校側にいわれ、彼のリズムからするとどうしても、無理は出来なかった。これまた、親の葛藤も大きかったが、今は、それぞれの子にあったリズムとアプローチで、良いものを引き出すほうが大切だと思うようになった。今後子供達が苦悩や試練に負けない心を育ててほしい、と願うのみ。 

会計を済まると、担当医、麻酔専門医、アシスタント2人と受付の人に見送られて帰宅。 

麻酔が切れ、号泣。すぐに鎮痛剤の座薬を入れた。いや~悪夢は終わった。まだまだ残りの診察で、いかに次男が医師に協力的な気持ちになれるのか、まだ心配と不安はぬぐいきれないが、先生方の真摯な応対に感謝。そして、今後は、とにかく虫歯にならない、食生活、生活習慣をキープさせないと。