日本はこれから雨期に入りますが、アメリカ南西部では山火事のシーズンです。
カリフォルニア州の山火事の季節は、5月中旬から10月中旬頃。気温が高く、雨が降らないので山火事が頻繁に起こるのです。たとえばロサンゼルスでは、1か月に1日雨が降るか降らないかといった感じの天候が数カ月続くことになります。
このように山火事は毎年のことではありますが、今年はどうも事態が深刻なようです。
米国干ばつモニターによると、カリフォルニア州全土で、干ばつ指数が5段階のうち3以上、これは調査開始以来初めてのことだそうです。特に、サンフランシスコを含む南西部が最高位の異常状態にあります。
(↑ カリフォルニアから立ち上る煙 wikiより)
メキシコとの国境にあるサンディエゴでは先週木曜日9つの山火事が起こりました。炎は民家にまで達し、異常事態宣言が発令されました。4,000ヘクタール以上が焼け、2万人以上が避難を余儀なくされたのです。
では、なぜこれほどまでの異常事態になってしまったのでしょうか。
それは、サンタアナと呼ばれる、この地域特有の風にあります。
サンタアナ(Santa Ana)とは、内陸の砂漠地域から吹いてくる強風のことです。山を下りて吹いてくるためにフェーン現象を起こさせ、風の吹き下りるカリフォルニア南部に、強風・乾燥・高温の状態をもたらします。これら、山火事の三大要素が起こることで、火事が起こりやすくなるのです。
(↑山を吹き降りるサンタアナ wikiより)
実際先週は、気温が異常に高く、ロサンゼルスでは15日(木)には38.9度まで上がり、この日の過去最高気温の記録を更新しました。
ただこの強風と高温は土曜日にようやく終息し、事態は収束に向かっています。
ところで、この乾燥した天候は、ここ最近だけのことではないようです。
実は2013年も観測史上最も乾燥した年だったのです。しかもそれだけではありません。その前の2012年も歴代1位の少雨の年で、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴなどの広い地域で、2012年と2013年は毎年のように少雨の記録を更新しました。さらに、2011年も異常に乾燥した年でした。
しかし、2014年の後半は、もしかすると事態はいい方向に向かうかもしれません。エルニーニョが夏から起これば、本来は乾期でカラカラの時期に、恵みの雨が多く降る可能性があるのです。
ところで、このサンディエゴの山火事で、ある印象的な現象が起こりました。「火災旋風」です。英語ではファイアーウィール、もしくは、ファイアネード(fire+tornado)と言います。
これは、竜巻のように見える、くるくる回る炎の柱です。熱風によって、急激な上昇気流が起こることで発生します。ちなみに、世界史上最悪の被害を与えた火災旋風は、日本で起きているのです。それは関東大震災のとき。現在の東京・両国で、地震後の大火災により発生した火災旋風は、3万8000人もの命を奪ったとも言われています。
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*火災旋風の写真*


