検証:アメリカ竜巻、死者が増えた理由 | 森さやかのブログ

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嵐の前の静けさとはよく言ったもので、アメリカでは、記録的に静かだった竜巻シーズン前半から一転、週末から竜巻の大発生に見舞われています。


一体、竜巻はどのくらい発生したのでしょうか。


下の図は、日曜日の荒天の状況を表しています。赤が竜巻、青が強風、緑が雹の報告があった場所です。33個の竜巻が中部を中心に広く発生しました。さらに直径11センチを超える雹が降ったようです。いくらアメリカとはいえ、これほどまでのサイズはめったに見られません。


↑4月27日

月曜日には事態がさらに悪化しました。

南東部で、なんと69個もの竜巻が発生したのです。日曜日と月曜日を合わせると102個!2日続けて10名以上の死者が出てしまったのですが、この異常事態は、1992年11月以来初めての出来事です。伝えられるところでは、これまでに計37名の方が亡くなっているようです。


↑4月28日

甚大な被害が出た理由は、竜巻が夜に襲ったことだと思われます。


発生時間を見てみると、計102個のうち99個が夜間に発生しているのです。暗い中で竜巻が忍び寄ってきたために、十分な避難措置がとれなかったのでしょう。


ところで、竜巻はもっぱら昼間に起こることが多いのですが、アメリカ南東部に関しては、夜間に発生するものが多いようです。


この南東部はディクシー街道と呼ばれた、全米第2位の竜巻多発地帯。メキシコ湾からの非常に暖かく湿った空気が多くの竜巻を発生させます。ちなみに一位は中央平原地帯で、竜巻街道と呼ばれています。


ではなぜディクシー街道は夜間竜巻は多いのか。それは、通常竜巻は昼間の昇温に伴って、上空温度との差が大きくなって発生するのですが、南東部は夜間でも気温が高いためです。


さらに、海に近く常に湿度が高いために、年間を通して竜巻が発生しやすいという特殊な場所でもあります。湿度が高いことで、大雨を伴った竜巻が発生することが多く、竜巻自体も雨に隠れて見えづらくなります。こうした、夜間型で、見えにくいという特徴から、南東部の竜巻は死者が出やすいとも言われています。


なお、アメリカでは火曜日も竜巻が起きており、アメリカ東岸で約10個発生しています。