痛ましい海難事故が起きました。
昨日、韓国南部の珍島(チンド)の南西沖海上で、約470名が乗ったフェリーが沈没、現在のところ、6名の方の死亡が確認されています。夜を徹して救出作業が行われました。
事故が起きたのは、黄海の海域。なんでも霧が発生していたために出発が2時間半遅れ、それを取り戻すためか、フェリーは陸に近いコースを取っていたといいます。
救出作業の映像にも、霧で視界が悪くなっていました。
一体、この海域は霧が発生しやすいのでしょうか。
実は、春は霧のシーズンに当たります。平均して50日、多い時で80日も霧に包まれることがあります。霧シーズンは4月初めから8月にかけて。この海域では、船の衝突事故の半数は霧が原因で起きています。
なぜ霧が発生するかというと、この時期、相対的に冷たい海水の上を、暖かい空気が流れるからです。黄海では、春から夏にかけて、こうした「蒸気霧」が発生しやすいのです。
事故現場の海水温度は13~14℃。一方気温は、高気圧のへりを流れる暖かい南風の影響で昼間は20℃以上、5月並みの高さ。事故当時、海上では、濃霧警報が出されていました。
↑15日の海水温(日本気象庁)
↑事故当時の天気図(日本気象庁)
ところで、この水温の海水の中に人がいた場合、生命の危機はどの位なものなのでしょうか。下のグラフをご覧ください。水温と時間からみた、生存可能性を表しています。ちょうど13℃くらいですと、3時間を超えると生存が危険です。
さらに、今夜には低気圧の中心が現場付近を移動します。強い雨、風、高波が予想され、救助に支障が出るのではないかと心配されます。
↑17日21時の予想天気図(日本気象庁)
一刻も早い救出を願うばかりです。
*参考文献*
Survival in cold water
NASA
http://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php?id=77608



