中心気圧 934hPa の風嵐襲来 | 森さやかのブログ

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もし「今年の気象用語大賞」なるものがあったなら、おそらくこの言葉が選ばれていたでしょう。

特別警報

今年の8月30日から、「警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合」に、新たに発表されることとなりました。

初の特別警報が出されたのは9月13日のこと。台風18号により西日本で豪雨が降りました。嵐山の渡月橋が、氾濫した桂川に流されそうになっている映像が衝撃的でした。その後台風は東日本・北日本を縦断したため、広い範囲に被害が及びました。

この台風の中心気圧はもっとも勢力が強い時で960ヘクトパスカルでした。

ところで、この台風18号よりももっと中心気圧の低い低気圧がヨーロッパを襲っています。


その気圧、なんと934ヘクトパスカル!


かつて国内に500名以上の死者を出したルース台風の上陸時の気圧とほぼ同じです。

下記の天気図をご覧ください。等圧線が非常に込み合っていて、猛烈な風が吹き荒れていることを示しています。



↑12月24日朝9時の天気図(イギリス時間)

イギリス気象局のHPより

(この嵐の名前はDirk(ダーク)。手裏剣の意。)

この非常に発達した低気圧がもたらした暴風雨ために、クリスマスイブの昨日ヨーロッパ西部で約24万世帯で停電が起きました。スペインでは秒速47メートルを超える暴風が吹き荒れ、イギリスでは2カ月分の降水量が24時間のうちに降りました。増水した川に流された2人が死亡しています。

嵐のピークは越しましたが、金曜日に再び低気圧がやってきて荒れる見込みです。

実は今はヨーロッパ西部が荒れやすい時期でもあります。


というもの、冬は大西洋で発達した嵐がヨーロッパにしばしばやってくるからです。特に1月が顕です。際立って勢力が強い低気圧は、年間5個くらい発生します。

これらの嵐による被害は甚大なもので、自然災害による保険損失額の中で2位を占めているのがヨーロッパの嵐による損害です。(1位はアメリカのハリケーン)