週末から、アメリカでは交通事故と停電が多発しています。なぜでしょうか?
その最大の原因は、Freezing rain=着氷性の雨です。
日本ではお馴染みではないので、あまり聞きなれない言葉だと思います。
では、この着氷性の雨とは何でしょう?
それは、気温が0度でも凍らずに空から落ちてきて、物に触れるとすぐに氷になる雨のことです。物体の表面に、硬くて滑らかで、透明な氷の層を作ります。
道路に落ちると氷の膜で大変滑りやすくなりますし、木に落ちると枝や幹を氷で覆い重くなるので折れてしまったり、電線に降ると断線して停電を引き起こすことがあります。また航空機に当たると、視界が悪くなったり、機体が重くなったり、空気抵抗が増えたりと、航行に重大な支障を引き起こすことがあります。
この現象は発生頻度が少ないので、世界的にも珍しい現象だと言われています。日本国内でこの着氷性の雨が被害を引き起こすのは10年に一度くらいなのだそうです。ちなみに少ないながらも、国内で最も観測されている都道府県は長野県です。10年前のことですが、2003年1月3日に観測され、朝からスリップ事故や鉄道運転見合わせなどの交通障害が相次ぎました。
ただ、アメリカやカナダでは度々冬季に発生し、よくニュースになることがあります。
実際、アメリカでは1949年から2000年までのFreezing rainによる被害額は、163憶ドルを超えるとの試算が出ています。またアメリカ国内の気象災害によるけがの20%が、これによるとの報告もあります。
このようにたいそう迷惑な現象ではありますが、いいこともあります。氷の膜が太陽の光できらきら輝いてガラスのように反射するので、綺麗な景色にハッとさせられます。
さて、最後に、このように世界的に珍しくてもある場所では結構頻繁に起こる冬の現象を紹介しましょう。
それは冬季、日本海側で見られるあれです。
答えは”雷を伴った雪”です(詳細※)。日本語では冬季雷、英語ではthundersnow, winter thunderstormなどと呼ばれます。非常に珍しいにもかかわらず、日本海側の地域ではよく見られる現象です。私はまだ実物を見たことがないので、ぜひ見てみたいと思っています。
※ 冬季、大陸からの流れてきた冷たい季節風が日本海の上を移動する間に、空気は海水からの豊富な水蒸気を受け取ります。そして100m~数百mの高さに雷雲が発達します。雷雲は日本の背骨・脊梁山脈にぶつかり、日本海側の陸地で雪を降らすと共に落雷を発生させます。