私達は自分で生きているって勝手に思っているけど、本当は見えない大きな力によって生かされているんだよ。
私は今まで何回も事故に遭い、病気もたくさんして、7年前にはガンになり、甲状腺の全摘手術をしたり…とにかく色々あったけど生かされて今ここにいる。
それこそ、奇跡なのかもしれない。
29才の時、私は結婚していて長女は1才半位だった。
嫁ぎ先は電気屋だったが、不幸の問屋のような家だった。
姑はガンの末期。
義祖父は痴呆症とパーキンソン病を患っていて、私は子育て、店番、家事、借金取りの応対…二人の看病と介護と毎日寝る暇もなかった。
前夫は外では優しい良い人だったがDV(結婚してから気がついた)で商才が全くなく借金を増やす名人だった。
商品の仕入れは手形で決済していたが、姑が病気になった事で商売は更に火の車で、毎月200~300万ずつ借り入れが増えていった。
私は寝不足と過労と栄養失調で日に日に痩せていき37キロしかなかった。
長女の3時間おきのミルクと姑の3時間おきのモルヒネの時間がバラバラで夜も 1時間位しかまともに眠れなかった。
それでも何でも夫婦が仲が良ければ何とか頑張れるが、夫の暴力、浮気…も重なり私は精神的に弱って生きる意味を見い出せずに力を失いかけていた。
姑の看病にも疲れていた。
私の方が毎日全然寝ていないのに、時間なんて何にも気にしないで「痛い、痛い」と夜中でも朝方でも泣きわめく姑に怒りを覚えた。
(早く死んじゃえばいいのに!)そう思った。
そう思った瞬間、私は自分が悪魔にでもなった気がして悲しかった…。
姑は病気…痛くて苦しんでいる。
だけど私も限界がきていた。
私の体も心も悲鳴をあげていた。
実家には母と義父がいるが、心配をかけたくなくて何も話していなかった。
友達にもこんなに色々と困っているなんてみっともなくて話せなかった。
何処にも行く所がなくて、長女を抱いて町の中をふらふらとさまよっていた。
気がついた時にはキリスト教の教会の前に立っていた。
確か、冬で凄く寒い日だった気がする。
「すみません。教会に来たのも初めてで何もわからないんですけど、お祈りさせて頂いていいですか?」
出てきた神父は面倒臭そうに「今日は忙しいから又今度にして下さい。」そう言った。
私はガッカリして、又長女を抱いてトボトボと歩き出した。
次に又教会があった。
私は何としても祈りたかった。
姑に対して思ってしまった酷い感情を誰かに聞いてもらいたかった。
恐る恐るドアのチャイムを鳴らした。
優しい感じの女性が赤ちゃんを抱いて出迎えてくれた。
「すみません。初めてで何もわからないですけど、お祈りさせてもらいたくて…」小さな声でそう言った。
(夕飯時だし、きっと迷惑だよね…)そう思って帰ろうとしたらその女性が中に行って又戻って来た。
牧師さんも一緒に来てくれて「どうぞ、どうぞお入り下さい。寒かったでしょう。」と礼拝堂に入れてくれた。
私と長女に温かいミルクまで用意してくれた。
私は今までの経緯を話して、自分が姑に思っている本当の気持ちを打ち明けた。
「私は人が思っているような良い人間でも優しい人間でもないんです。
もう疲れ果てて姑の面倒をみながら、心の中は (早く死んで!)そんな鬼のような気持ちになっています。私は酷い人間です。」私は泣きながら真実を話した。
気がつくと牧師さんも泣いていた。
一緒にいた奥さんも泣いていた。
牧師さんは「あなたは酷い人間なんかじゃない。愛があるから苦しいんです。そんな状態でもお姑さんの面倒をちゃんとみているのがその証拠です。普通はそこまでできません。あなたは愛がある人です。あなたは導かれています。もう大丈夫。一緒に祈りましょう。」そう言って牧師さんは私の為に涙をポロポロと流しながら長い間、祈ってくれた。
私は今日初めて会ったばかりの他人が私の為に泣いてくれて、こんなにも真剣に祈ってくれている…その事に感動して又涙が流れた。
牧師さんは「毎日来てもいいですよ。困ったらいつでも来て下さい。」そう言ってくれた。
その言葉だけでどんなに心強くなったかわからない。
その日から私は教会に通い始め、牧師さんから 色々な事を教えてもらった。
生きる事に疲れていた私にとって、神や目に見えない色々な世界の事を教えてくれる牧師さんの話しは私にとって希望の光となった。
それから私のスピリチュアルな道の探求が始まった。
結構長い間通わせて頂いたのにも関わらず牧師さんは一度もキリスト教に入りませんか?と私に入信を勧めなかった。
そこが凄いと思う。
「あなたはあなたのやり方で、多くの人達のお役に立てる役割があるから。」とその頃から私の本質をわかっているかのように、いつも励ましてくれた。
あれから長い長い時間が経ちました。
「牧師さん、私はあなたが言ってくれた通りに今では少しは誰かの役に立てるような仕事ができるようになりました。
あの時あなたに出会えた事、今与えられている命に心から感謝します。ありがとうございました!」