最近、三浦綾子の自伝『道あるき』~青春編~を読み終わって、次の~結婚編~『この土の器をも』を読んでいる。
私は今まで三浦綾子と言う人をあまり詳しく知らなかったけど、本を読んでいるうちに三浦綾子の純粋さ、正直さ、潔さ、感受性の豊かさ・・・色々な所にどんどん惹かれていった。
綾子は戦後の時代に恋多き女とレッテルを貼られたりするけど、肺結核で病気療養中でガリガリに痩せていてそんなに美人でもない綾子(これは本人が言っていた言葉)の周りにいつもたくさんの男性の取り巻きがいたのは、やっぱり綾子が人間的に魅力的だったからだろう。
綾子は本の中で
・・・わたしが異性の友だちに求めていたものは、肉体ではなく、いわば人生について、共に語り合うことであったような気がする。・・・
綾子は一人ひとりの男性としっかり向き合って、人間として深く触れ合いたいと思ったのだけど、綾子と知り合った男性はみんな綾子を好きになってしまう・・・。
しかも、みんな心の綺麗な誠実な男性だったり、超エリートだったり、超美男子だったり・・。(羨ましい・・・)
その中でも綾子を命懸けで愛してくれた恋人、前川正は北大で肺結核で永くない命だったのにそのすべてを綾子に捧げた人だ。
自分が病気で経済能力がないことで悩んだ前田正は、イチかバチかの賭けに出る。
その頃の肺結核を治すには、肋骨を取り除く手術が唯一の方法だったらしい。
前田正は肋骨を8本取り除くことになった。
でも、その成功率は50%・・・。
最初の手術は成功・・・。
2回目も成功したように思えたのに、結局・・・手術は失敗だった・・。
病気の悪化と痛みをひたすら隠して綾子の見舞いに来ていた。
そして、ある日、綾子に会う事もないまま息をひきとる・・。
綾子は脊髄カリエスの為に全身ギブスでベッドに縛られて何ひとつ身動きできない状態だった。
恋人が亡くなったのに別れの挨拶も告げられない悲しみ、悔しさ、苦しさ・・。
その時を想像するだけでもどんなに辛かっただろうか・・・と考えると読みながら泣けてきた・・・。
前田正の形見は、それまで綾子と付き合ったいた時の手紙と日記。
『綾ちゃん、お互いに、精一杯の誠実な友情で交わって来れたことを、心から感謝します。
綾ちゃんは真の意味で私の最初の人であり、最後の人でした。
綾ちゃん、綾ちゃんは私が死んでも、生きることを止めることも、消極的になることもないと約束して下さいましたよ。
万一、この約束に対して不誠実であれば、私の綾ちゃんは見込み違いだったわけです。
そんな綾ちゃんではありませんね!
一度申したこと、繰り返すことは控えていましたが、決して私は綾ちゃんの最後の人であることを願わなかったこと、このことが今改めて申し述べたいことです。
生きるということは苦しく、又謎に満ちています。
妙な約束に縛られて不自然な綾ちゃんになっては1番悲しいことです。
綾ちゃんのこと、私の口からは誰にも詳しく語ったことはありません。
頂いたお手紙の束、そして私の日記、歌稿を差し上げます。
これで、私がどう思っていたか、又お互いの形に残る具体的な品は他人には全くないことになります。
つまり、噂以外は他人に全く束縛される証拠がありません。
つまり、完全に『白紙』になり、私から『自由』である訳です。
焼却された暁は、綾ちゃんが私へ申した言葉は地上に痕をとどめぬわけ。
何ものにも束縛されず自由です。
これが私の最後の贈り物
念のため早くから 正
綾子様』
- 道ありき―青春編 (新潮文庫)/三浦 綾子
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自分が死ぬ直前に恋人の綾子のことをひたすら想い、綾子が後を追って自殺しないように・・・そして自分のことを想い続けて綾子がずっと一人でいないように、自分との思い出の物をすべて処分するように残している・・・。
前川正が愛する恋人を残していく時に、どんな気持ちでその手紙を書いたかと思うと、又泣けてくる・・・。
でも、その深い悲しみの奥に、すべてを超越した二人の純愛が私の心に暗さではなくて希望のような明かりを灯してくれた。
三浦綾子と前川正の生き方から、大切なものを思い出した気がする。
人は本当の心の繋がりを求めているのだと思う。
心と心の真実のふれあいを私も求め続けていきたい!![]()