現在ではシステム上、考えられないことですが、当時同じ名義の口座を持つことは可能でした。

こんなシステムを応用する悪い奴の話です。

まずは同じ名義の口座それぞれに入出金を繰り返し、窓口担当が口座を間違って入出金するのを待つのです。

当時は手作業なので、口座相違は時々発生したものです。

ましてやお客様の方から誘導されるように仕向けられると高い確率で発生します。


そして、間違って入金されるのを確認すると1週間程のちに、

「私の預金が十万円足らないと思いますが。」

と窓口に調査依頼に来店します。


窓口「すみません。同じ名義の口座がありまして、そちらに入っていました。」

ヤクザ「わしが気付かなかったらどうするつもりやったんか?」

窓口「すみません。」

ヤクザ「すまんと思うけどな。支店長お呼び!」


支店長が応対しても勿論おさまりません。

言葉つきは丁寧ですが、ドスのきいた声とのやり取りが次長の彼と交わされました。


(支店長)「すみませんでした。」

ヤクザ「松下幸之助さんの口座から2~3百万この口座へ入れてくださいな。」

「そんなことできません。」

ヤクザ「そのできん事、現にやっとるやないか!」


とやり取りは延々と続き、このやり取りが始まってから3日目、ヤクザと彼がお互い知り合いになった頃、

ヤクザ「今度、わし、この近所の3丁目に喫茶店出すつもりやねん。」 とか

「50万円ほど足らんので誰かかしてくれへんやろか?」

と、それとなく融資申し込みがありました。

シラ~と「どこかあったらよろしいね。」

ヤクザ「たいした金と違うやろ!あんたとこで融資してくれへんか!」

「お断りします。」

と「つっけんどんに返事すると、

ヤクザ「ものは言いようがあるやろが!何やその言い方は!!」

「ほんならどない言うたらよろしいのん?」

とすこし語調を荒げて言うと、それにつられて

ヤクザ「何ぃ!!何回も同じこと言わすな!!」

と、テーブルをたたきました。


ヤクザの大粒のダイヤモンドもどきの指輪がガラステーブルに当たりガチャン!!湯のみも跳ね上がります。


彼はびっくりした様子で立ち上がり、応接室に設置してある電話から110番通報したのです。

「たすけてください!」

警察「どうしました?!」

「それがあのー、あのー」

警察「わかりました!直ぐ行きます!!」

ヤクザ「お前!どこに電話しとんねん!!」

と言ったが、時既に遅く、パトカーが銀行に横付けされ、警官が3~4名駆け込んで来ました。


やくざは警官を見て先ほどとはうって変わった態度で

「あっ!旦那さん!」

警察「○○!お前こんなところで何してんねん! 銀行強盗してんのんやないやろな!」

ヤクザ「いえいえ!とんでもない! 銀行があての金、取りよりましてん。あての十万円を他の人の通帳に」入れよりましてん!」

警察「入れ替えてもらえばええやないか!}

ヤクザ「それもそうですけど・・・」

警察「他に何してほしいねん。」

ヤクザ「いや、何も」

警察「よし、わかった」 「ところで次長さん、こいつガラステーブルたたいたんですか?」

「ハイ!お茶もひっくり返りました!」

警察「女子行員はどうでした?」

「皆びっくりして立ち上がりました!」

警察「次長さんは?」

「気が動転してしまい、気がついたら110番してました。今も震えがとまりません!

ヤクザ「嘘つけ!!」

警察「お前は黙っとれ!次長さん、調書作りますから布施署の2階までご同行いただけますか?」

「ハイ、ワカリマシタ!」

ヤクザ「エエッ!ワシもでっか?」

警察「当たり前やろ!!」



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この支店ではヤクザとは知らずに当座預金開設をしてしまい、対応に困っていました。

当座の名義はY株式会社ですが、実態は賭場での貸金業らしく、毎日多額の約束手形がまわってきます。


勿論貯金高不足で翌日手形交替所に不渡り手形として持ち込まれますが、Y(株)は資金をフル回転したいために賭場を閉めるギリギリまで、銀行に約束手形用の資金を入金しません。


しかも賭場は伊勢方面が多く、

「今西名阪国道を走って9時までに銀行に行くから交替所へ行くのをしばらくまってくれ!」

と電話が入ります。


毎日が時間との戦いです。


彼は「9時までは待ちます。9時過ぎると不渡り処理します。」

と言い切リます。


今までは9時20分ごろまで待ったりした為、交替所までが渋滞して危うく処理ができなくなりそうなこともあったとのことでした。


預金不足の手形を不渡り処理しなければ銀行の責任になってしまうのです。


しかし、とうとうある日西名阪の事故渋滞が起きて不渡り処理をしなければならない日がやってきました。


この一件後ヤクザさん達の思考回路が少し切り替わりました。

ヤクザというのはなかなか痛い所を突いてくるのがうまい人たちで、ある時実態のない会社名で当座開設の依頼がありました。

しかし、そのような口座は明らかに開設する事はできないので丁重に断りました。

すると毎日組の事務所へ20万届けてくれ、30万届けてくれ、と電話が入り始めました。


金jypの市場や商売人宅に、つり銭を福○銀行がとどけていることを知った上での依頼なので、大変断りにくい状況です。


Y(株)の当座預金はなくなっても、普通預金口座は残っていました。


彼は布施警察に頼み込み、組事務所にスクーターで現金をとどけに行くとき、後ろをパトカーでついてきてもらいました。


勿論パトカーの上のランプを回しサイレンも鳴らしてもらいました。


組の人「あれは何のまねや!!」

ヌケヌケと「知りません。一寸見てきましょうか?」

と、玄関から覗き、

「刑事のKさんが乗って張ります。」

組の人「お前、知り合いか!」

「ハイ!名前だけは。」


その後現金お届け依頼はなくなりました。。


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彼は企画部内に部長と2人だけになった時を見計らって

MOF の意向ばかり気にしないで支店まわりしてはどうですか?」

と意見すると、

M部長「何なら貴方が回ってきて報告してくれても結構ですよ。」

と言う返答が帰ってl来ました。


「頭取の息子やと思て実力もないのに頭だけでやってると銀行つぶしまっせ。」

というと

M部長「実力とは何やねん。」

「実力とは現実に即した他の人にはない能力や。」

M部長「ハーちゃん、あんた頭取の息子になれるか?」

「なれへんのんわかってまっしゃろ。」

M部長「ほんなら私のほうがあんたより実力あるやんか。」


そのとき一瞬

”それもそうやな”と彼が反応し顔に出たのでこの勝負は彼の負けとなりました。


そんなことがあってからずっと後、バブル経済が崩壊し、福○銀行がなくなった後も彼とM部長との付き合いは続いています。


企画部内で稟議書を読まされながらもあきもせず“支店実状把握、支店実状把握”と言い続けた影響もあって業務部内に、『推進役』という部署が新設され支店の実状を把握し、予算を通じて本部施策に反映されるようになりました。


銀行業務とはタンスにしまいこまれているお金を集め、資金を必要としている企業や個人に供給することにあるが、では銀行が地域社会の財布となるべく活動しているかどうかというと合格点はつけられないと彼は常々思っていました。


彼にしても銀行が地域社会の財布となるべく具体策があるわけではありませんでしたが、これかもしれないと考えていたことがありました。


その頃神戸の学生たちが使い捨て社会に疑問を持ち、リサイクル運動やフリーマーケットの活動を始めていました。

彼はそのことに興味を持っていて個人的に支援していました。


この運動を推進役として担当店の支店長に説いて回りましたが、、『面白い!』と賛成してくれる人はいても具体的活動にまでは至りませんでした。


彼はどんな小さな支店でもいいから支店長となり、やって見せなければと思うようになり辞令を待っていました。


今度の辞令は布施支店次長職でした。


支店長は神戸の長田でお世話になった係長だった人で毎昼食をご馳走してくれ、打ち合わせをしました。

ヤクザ対策が中心でした。



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