アニマルライツセンターが教えてくれた集約的畜産現場の現状 | 園芸ダイアリー ~だいたいサボタニ~

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雪国で大した装備もなくいろんな植物を育ててます

「我々は肉をボイコットすべきか」をテーマにしたシンポジウムを聴講してきました。

アニマルライツセンターの代表理事岡田さんのお話しが大変ショッキングだったので、ここにかいつまんで紹介したいと思います。

(話が前後している部分がありますが、私なりに整理した結果以下のようになりました。数字等は正確に写したつもりですが、間違いがありましたらすみません。詳しくはアニマルライツセンターサイトへ)

 

 

10年ほど前、中国で毛皮用に飼育される動物の毛皮を生きたままはがすというショッキングな映像が、世界各国で報道されました。

しかし日本では、アニマルライツセンターがそのニュースをマスコミに提供しても「視聴者が求めていないから」と全く取り合ってもらえなかったそうです。

そんな状態ですから、日本では集約的畜産の現場でどんな残酷なことが行われているのかを消費者が知る機会は、自分で調べない限り、ほとんどありません。

(もし知りたいと思えば、ネットで様々な動画や内部告発文章、潜入レポが閲覧できるでしょう)

 

世界の中で、日本の家畜における動物福祉のレベルをランク付けすると・・・

A イギリス

B ブラジル

C 中国、フィリピン

D 日本

まさか、中国より低いとは!と驚かれる方も多いと思いますが、日本における動物保護・福祉は世界的に見ても、かなり遅れていると言わざるを得ません。

 

断っておきたいのは、畜産関係の業者を悪者にしてはいけないということです。消費者の安いものが欲しいというニーズに応えるため、やむを得ずこのようなことになったのです。

 

では、具体的に集約的畜産の現場で、家畜たちがどのような扱いを受けているのかを述べていきたいと思います。

 

牛は優しい巨人と呼ばれ、悲しいと涙を流し、上下関係を作らず群れで平和に暮らす生き物です。

 

乳牛は、73%が繋がれて飼育されてい、牛たちは前後に一歩ずつしか動くことができません。

85.5%の牛が角を無麻酔で切られています。傷口からは血が噴き出し、何日も痛みに苦しみます。

一戸当たりの飼育頭数は、EU33頭ですが、日本では72頭と倍以上です。

 

肉牛は、20%が繋がれて飼育されています。

日本人は霜降りの柔らかい肉を好むため、ビタミンAを欠乏させられ運動させてもらえず、失明する個体もいます。

鼻輪はEUでは、残酷性から禁止されていますが、日本では76.1%の牛がつけさせられています。

59.5%が無麻酔で角を切られています。

 

牛は高く売れるため、扱いはましな方です。豚、鳥と扱いは物やゴミのようになっていきます。

 

豚は、自分で食事場所とトイレを遠くに設定するなど清潔で、自分で健康管理ができる知能が高い生き物です。

 

豚は6か月しか生きられません。

60%が病気になっており、加工場では食べられる部分から腫瘍など病気の部分を取り除いています。

屠畜場へ送られるときには、執拗にスタンガンを当てられるなどし、追い立てられます。

63.6%が8本の歯の切断をされていますが、現在は不要なのにルーティンワークで行われています。

94.6%が無麻酔で去勢されています。

尾の切断は81.5%。

豚たちは痛みから食欲をなくします。

母豚は、絶え間なく妊娠し続けられ、妊娠ストールという後ろもむけないほど小さなスペースに押し込められ、子供に触れ合うことすらできません。自由になるのは種付けの5日間だけ。

ほとんどの豚が精神を病み、異常行動や無気力になります。

 

鶏は、仲間の顔を見分けることができ、羽ばたく力は強く、一日中地面をつついています。本来は年に20この卵を産む鳥です。

 

卵用鶏は、最もひどい仕打ちを受けている家畜です。なぜなら、一番価格が安いから。卵も安ければ、親鳥も最終的には1羽1円か、それ以下の値打ちにしかなりません。

放牧は日本ではほとんどされておらず、バタリーケースという羽を広げることもできないケージに何羽も押し込められています。(海外では放牧や平飼いがメジャーで、スーパーでもケージ飼いより先に売れます)

ヒナのうちにくちばしの先を切られます。

狭いケージの中で餌を食べるために仲間の上に乗らなければいけませんし、羽ばたくために何度も羽を骨折します。

ケージの床は金網のため、柔らかい足の裏はただれます。

飼育場の中では、隙間に挟まれて死んだ鶏や、瀕死の鶏を必ず見ます。

死ぬまでバタリーケージから出ることはできません。

生きていても使い物にならなくなると、引きずり出され、小さなコンテナにギュウギュウに詰め込まれ屠畜場に送られます。そこでも物のように扱われ最終的にはチキンスープの材料などにされます。

 

ブロイラーは本来45か月で成鳥になりますが、50日で大人になるように品種改良されたため、一生のうちのほとんどを成長痛に苦しみながら暮らします。

 

鶏は、屠畜場で生きたまま足をフックにかけられ宙づりのままベルトコンベアで運ばれ、頭を水につけられて電気ショックで殺されます。

 

倫理的な観点からだけでなく、地球温暖化の問題から見ても畜産は地球に大きな負荷をかけています。

温暖化の原因の18%(運輸より多い!)、アマゾンの熱帯雨林の破壊の原因の9%が畜産由来となっています。

温暖化ガスの中では、メタンガス37%、亜酸化窒素65%が畜産起原で発生しています。

 

畜産物のなかで乳牛が一番温暖化に影響を与えています。

また、牛乳1リットルにつき、550リットルの水が必要であり、水資源にも大きな負荷をかけています。

 

食料や水資源は、紛争の大きな火種になりかねない深刻な問題です。

もし、家畜のえさであるトウモロコシや小麦、大豆をそのまま食料として摂取すれば、世界の飢餓をなくすことがでると言われていますし、家畜を減らせば温暖化に歯止めをかける大きな力になることでしょう。

 

以上のことは、実際に生産現場を見てきた現実であり、生々しい動画も見せていただきましたが、とても直視できるものではありませんでした。

あんな、心も体も病気にさせられた動物の肉を食べていたなんて・・・。

 

私自身、BS世界のドキュメンタリーで「いつまで肉を食べ続けるのか」(2011年ベルギー)という番組を見てから、獣と鳥の肉を食べることをやめました。

でも、いい加減で、それ以外のもの(乳製品や魚)は普通に食べていますし、料理にコンソメも使っていてベジタリアンとは程遠いです。でも、調味料が一番残酷だと知り、もうやめます。

ちなみに卵は、実家で平飼いされている鶏の卵を食べているので良しとしておきます。

 

肉を食べる人も、食べるものの責任として、家畜がどんな扱いを受けているのかを知ったうえで食べて欲しいですし、みんなが知ることで、注目されれば家畜の処遇も向上するんじゃないかなと思います。