ボクシングを変えた男 | PFPへの旅

PFPへの旅

ボクシングを中心にスポーツや世の中の様々なジャンルを大真面目に考えるブログです。政治経済からアングラまで、知りたいことがあったらコメント欄にどうぞ。

スポーツには、そのスポーツそのものを変えてしまうようなパラダイムが存在する。それは時にはスターにより変革し、またある時はコーチによって、またある時はルール改正などの外的要因によってだ。
photo:01


サッカーではサッカー未経験で靴の行商人だったアリゴサッキが提唱したゾーンプレスがそれにあたる。それまでそれぞれポジションが専門職でマンツーマンで守っていたものを早い段階からプレッシャーをかけゾーンで守り、全員攻撃全員守備を行うというものだ。サッキがクライフ率いるオランダのトータルフットボールを基にしたのは間違いないが、あの動きはバスケットに近い。当時は無敵で、昨今のサッカーの礎となる存在だ。

野球も今年統一球が導入され質が変わってしまった。来年は研究され少しは打てるようになるだろうが、守備偏重のスモールベースボールになっていくだろう。
また長野五輪であれ程強かった日の丸飛行隊はその後のルール改正で最早入賞すら難しくなってしまった。
photo:02


ボクシングに於いて最も変革をもたらしたのは、やはりアリだ。それまでの力任せの殴り合いやガードを上げてのディフェンスから、スピードこそがすべてを凌駕する、それはダマトが言ったパンチを受けなければ負けないの言葉通りに変えてしまったのだ。

今見ても凄いのだから、当時の衝撃は凄まじかっただろう。基本的にレナードもロイ・ジョーンズもメイウェザーも言葉は悪いがアリの真似だ。
photo:03


もうひとりいる。タイソンだ。二人共スピードを活かしたボクサーだが、その質は正反対で、アリがアウトボクサーだったのに対し、タイソンは生粋のファイターだ。
基本的にスピードスターはパンチ力は並だ。だがそのスピードを活かし、パンチをもらわず、タイミング良くパンチを合わせる。パンチ力があるように見えるのはそのタイミングや切れ味が抜群だからだ。
しかしタイソンは違う。そのスピードが全て攻撃のためにある。もちろんディフェンスも素晴らしいのだが、あのピーカブースタイルで頭を振って突進するスタイルは攻撃のために編み出された守備だろう。決定的に違う点はその破壊力だ。当たれば倒れるのだ。
それまでは力任せのボクサーと非力だがスピード重視のボクサーがいたが、タイソンは二つを兼ね備えた存在だった。

他にはナジーム・ハメドがいたが真似出来ないので、変革には至らないだろう。
photo:04


天はボクサーとしてアリとタイソンに二物も三物も与えたが、その後の二人の残酷で悲劇的な人生をみれば、やはり天は二物を与えないのだ。



iPhoneからの投稿