そうだ、米国で医者やろう~♬ -12ページ目

そうだ、米国で医者やろう~♬

米国ボストンで循環器内科フェローをしています。心臓集中治療の分野と美味しいご飯処を世界に広めるのが目標です。

Non-US IMGの壁

IMGにとって最も大変なのはResidencyに入り込むことです. Residency始めたての頃はFellowshipならHarvardもいけるんじゃないかくらいに高を括っていました. 井の中の蛙でした. Residencyと同じかそれ以上にCardiologyに入り込むことは大変です. Positionを獲得するためには等身大の現状理解がとても大切です. NRMPのデータと私見を交えてかみ砕いてみます.

 

まず2019年度ACGMEに認可されているProgram数をFREIDAで検索すると, 全体で244箇所あります. その中でJ1をサポートしているのが197プログラム. H1bビザをサポートしているのが70プログラム. AcademicなプログラムはH1bをサポートしていることが多いですが, よっぽどの業績とコネがない限りそういったプログラムの選考対象とはならないので, H1bで応募することはそれなりのリスクが伴うことは理解しておく方がよいでしょう.

 

 

次にどれくらいの確率で循環器内科にマッチできるかという話に移ります. 日本では病院さえ選らばなければ100%マッチできると聞きます. 本当に日本は医者にとっては良い国です (医局制度は別ですが). 以下に示すグラフMRPMが2019年に発表したグラフです.

 

 

循環器内科マッチ率

 

毎年1,100人から1,300人ほどが応募します. そのうち約70%がマッチする計算になります. ただここには大きな落とし穴があります. PopulationがHeterogeneousなのです. そしてわれわれnon-US IMGは不利な位置に属します. それは以下の表に如実に表されます.

  Non-IMGのマッチ率 

 

この表から読み取れるように, Non-US IMGのマッチ率は54%……. しかもGreen Card (GC)保持者がNon-US IMGに属するので, J1 and H1b保持者のマッチ率はさらに低いことが予想されます. またこの表からnon-US IMGが全体の34%を占めることがわかります. まぁ, ResidencyのときよりもIMGも多そうだしイケんじゃないかとふと思います. 錯覚です. ここで勝負するIMGたちはResidencyを生き抜いてきた猛者たちです. 統計はないですが, 例えば面接で隣に座っていたSt LukesのResidentはUSMLE 260s (彼のプログラムでは平均くらいらしい), Pubmedでの論文数は約60本.  PGY-1で渡米. こういう人種を相手にするのです. なので, 良いFellowship Programにマッチするには, 綿密な作戦を練って, Residencyが始まったらすぐに準備をすべきです. 

Fellowship Timeline in 2019

Fellowshipの就職活動は内科レジデント三年目に行われます. 米国では日本と同じマッチングアルゴリズムを用いてFellowship Matchingが行われます. ERASというサイトが応募のすべてを管理しており, このサイトに必要書類をアップロードします. 同サイトを通じてFellowship Programにワンクリックで応募できるので非常に便利です. ERASと同じくらい重要なのがNRMPです. このサイトはマッチングのランクを提出する先です. ERASとは別に登録が必要で登録できる期間がERASと若干違うので注意が必要です. 面接が終わったら期限までにランクリストを作成してNMRPに登録します.       http://www.nrmp.org/match-calendars/

 

3-6/2019 

推薦状, CV, PS, MSPE, 成績表の準備

6/6/2019

ERAS 2020 へ登録

7/5/2019

プログラムへの応募開始

7/15/2019

プログラムが応募者の情報を見れるようになる (重要)

→この日までにすべて書類をFinalizeするのが一般的

8/28/2019

NRMP登録開始

→プログラム側は10月半ばからランクし始めるのでそれまでに登録

8-10/2019

面接→循環器内科は遅い9月半ばからの遅いスタートでした

11/20/2019

ランクオーダー (NRMP登録)締め切り

12/4/2019

Match Day

 

1.  

 

必要書類について

Residencyのときとほとんど同じです. 推薦状, CV, PS, MSPE, 成績表, 証明写真です. AAMCのサイトで必要書類リストが確認できます.

 

推薦状:

最低3通だが4通出すのが一般的. Program director(PD)から1枚は必須で, 残りの三枚は好きな人からもらっていいことになってますが, 通常, 応募科の先生からもらいます. 有名な先生にいい内容の推薦状を書いてもらうのがベストですが, それが難しいのなら, 普通の内容で偉い先生から推薦状をもらうほうが, マイナーな先生にいいこと書いてもらうのがよりよいでしょう. 有名な先生のネームバリューだけで面接に呼んでくれる可能性があります. 私の場合, PD letterは(PD曰く)最高の一通をいただきました. 一通はラボの先生から, 残りの二通は病院の内科の先生から. ラボのボスで全米の心不全の第一人者からも一通いただく予定でしたが, 人には言えない悪いことをして病院から解雇されて行方不明になったため推薦状をいただくことができませんでした.

PD Letterと、PCCMのAttending3人 (1. PCCM Program Director / Assistant Professor, ICUで一緒に働いたのと、Residency 1年目から臨床研究・論文のsupervisorとして一番お世話になりました。2. Division Chief / Associate Professor, Electiveで一緒に働いたのと、Case Report, Resident Grand Roundの監修を頼みました。3. Assistant Professor, 大学病院の本院でAway Electiveをしたときに一緒に働いたのと、その後臨床研究の手伝いをさせてもらい学会発表をしました) からいただきました。推薦状は早くから「誰に書いてもらうか」を決めておいて、一緒に働く機会を積極的に作り、早めに依頼することが大事と思います。

 

CV (Curriculum vitae, 履歴書): 

PublicationsはSubmitしてないものは書く欄がありません. なので, Research experienceに長文で言い訳がましく書く必要があります.

 

例えば,

 

 

Principle Investigator, Happy Research Center, NY                              2019-present

Supervisor: John Dough, MD, FACP, SFHM

We have designed and carried out several systematic reviews with meta-analysis with a wide scope of topics within the field of cardiovascular medicine addressing several issues including risk of amputation associated with sodium-glucose cotransporter 2. This collaborative work has led to poster presentations at scientific conferences and two manuscripts that are being prepared for submission for publication. As a lead investigator in several projects my roles have included: study design, implementation, data extraction, statistical analysis and manuscript preparation.          

 

学会発表でもOnlineでAbstractとして載ってるものとそれ以外で分けてERAS上で記載するので普段のCV作成のときから分けて書いておくと後々便利です. MyERAS上で一度Finalizeしてしまうと変更ができないので注意が必要です. 私の場合, 卒後から米国までの間の経歴を書き忘れるという凡ミスをしたことに後で気づき自分のだらしなさを嘆きました.

 

Personal Statement (自己推薦文): 

自分のやってきたことから将来やりたいことを一直線に筋道を立てて述べつつ, ほかの候補者との違いを強調する. 言うは易く行うは難し. 反省点としては, 自分は将来の進路をTranslation researchのphysician scientistというめちゃくちゃ絞ってしまったため, 殆どのプログラムで「きみの希望するような研究はできない」と言われてしまいました. 一方, ごく少数の研究志向なプログラムからは強い興味を抱いてもらいました. 諸刃の刃です.ちなみに, FellowshipからBasic ResearchやTranslational Researchをゼロから始めるのは極めて困難です. 基本的に研究志向のプログラムの面接ではPhD保持者や過去に経験がある人しかいませんでした. なので, Basicな研究をしたい人はどうにか頑張ってApplyまでに経験するしかありません. 私の場合, 日本での研修医を終えてすぐの渡米であったため, 研究に触れる機会がまったくなく, レジデンシー中にTranslational Research Labに所属しました. 研究志向のプログラムは限られているので, 競争率の高い科に進む場合, 基礎研究やTranslational Researchに対する興味をPSに書いてしまうとほとんどの施設は該当しないので選考から外れてしまう可能性が高くあります. なので, 研究に興味ある人は臨床用のPSも別に作って臨床志向のプログラムもカバーしたほうがベターです. 添削に関しては, 今回はネットのサービスは使用せず, もともとライターをしてた同僚Internの子にみっちりと添削してもらいました. 医療系の知り合いに添削してもらったほうが前提知識もあるし親身に添削してくれるのでよいでしょう. 内容や文字数に関しての決まりがプログラムによってはあるので, 本命プログラムのRequirementsはホームページで確認したほうがよいでしょう. 文字数は一般的に400字から600字くらいです. 参考までにいくつかFellowship Programのページを添付します.

Ø  University of Hawaii: https://www.hawaiiresidency.org/cardiovascular-disease-fellowship/application-requirements

Ø  University of Washington: https://cardiology.uw.edu/education/how-apply

 


PSは自分が何をやってきたかと、Fellowshipで何をしたいかをわかるようにすると採用側としてはわかりやすいと思います。面接官は結構よく読んでおり、いかにプログラムの性質とあっているかを考えています。アピールポイントはこれといったものがないままでしたが、一応臨床研究をResidency中に頑張ったことを書き、臨床・研究ともにレベルアップしたいことを順序だてて書きました。添削はResidencyのPDと、何人か先輩・同期にお願いしました。有料添削サービスであるExpertEditorも最後に使用しましたが、結局気に入らなかったのでボツにしました。

MSPE

2017年から書式が変更になりました. なので, それ以前に作成した先生方は再度作る必要があります. わたしの母校は所定のテンプレを基に自分で追記する形でした. まずは大学に問い合わせましょう. 学長サインが必要なため, 私の場合, 申請から受理まで計1か月ほどかかりました. 余裕をもって三月には申請しておくといいでしょう. Residencyのときとちがって, 推薦状以外はすべて自分でアップロードできるので, ECFMG担当の先生にやり方を説明するなどの面倒なことが省けます. ちなみに, 面接の際に自分のERASにアップした書類一式をなぜか面接官と一緒にみるという機会がありましたが, MSPEは1秒たりともみてませんでした. PDは見てるのかもしれませんが, あまり重要度は高くないのかもしれません.

よっぽどイレギュラーなことがない限りどこも似たようなことを書くので重要度は低いと思います。
 

成績表

以前にPDF化したものを持っていればそのまま自分でUploadしても問題ないでしょう. 私の場合, 学長が変わったので念のため新しい学長サイン付きの成績表を提出しました. 書類はMyERASのページからUploadできます.

 

証明写真

レジデンシーの応募のときに撮影した写真を利用しました. 周りも使いまわししてる人が多かったです. ネットでのアップロードなので正方形に加工しておけばOKです. アップロードする際のファイル容量制限が厳しいのでネット上のファイル圧縮ソフト(無料)などで調整しました.

 

以上が必要書類となります. Residencyのときと同様に面倒ですが, マッチング直前は色々ばたばたするので, あらかじめ準備しておくことで大切です.

 

はじめに

どうも, ぽちゃたろうです. 日本国内だと渡米に関する情報が限られており, 留学したくてもどうしたらいいのかよくわからない先生方が多くいると思います. そんな迷える子羊たちのために, わたしのFellowship体験を共有することにしました. 多少内容が専門的な部分もあるので適宜読み飛ばしていただけると幸いです.

 

簡単な経歴

日本生まれ日本育ち. 大学以前に留学経験なし. 厳密にはサッカーの代表でニュージーランドは行きましたがここではカウントしないでおきます. 大学は都内の中堅私立. 大学時代はサッカー部に所属して5年生の引退まで続けました. 渡米するのにある程度の学歴はもちろん必要ですが, 出身大学は殆ど関係ありません. 今まで渡米した人は様々な大学出身です. 部活に関してはあまりハードなのはおすすめできません. 自分の場合, サッカーに時間をとられすぎて, 渡米するうえではマイナスに働いたと思います. 健康面でのプラスを考慮するとトータルではプラマイ0と結論付けてます. 幸い5年, 6年のカリキュラムが緩かったので隙間時間に勉強をすることができUSMLEを取得できました(以下の図参照). 振り返ると学生時代に研究に従事しておくべきだったと反省しますが過去は変えられません. Fellowshipを視野にいれると最善の策は医学部在学中にPhDを取ることです. PGY (卒後年数)若く, Publicationsもできるため非常に有利ですし, 日本ではMD-PhDは当たり前ですが, 米国ではMD-PhDはエリートコースで稀なので非常に尊敬されます. 本邦におけるMD-PhD programの例として, わたしの大好きな徳島大学にはMD-PhDコースがあるようです(https://www.tokushima-u.ac.jp/scme/MD-PhD/). 徳島県は鱧やすだちをはじめ資源に豊富な場所です. こんな魅力的な場所でMD-PhDコースができたら魅力的です (特に徳島大とCOIはありません).

 

わたしのUSMLE受験Timeline

 

初期研修は母校でやりました. もともと研修医二年目での米国内科マッチングを計画しており, 最も柔軟に対応してくれてくれるところを探しました. 海外志向を謳ってる亀〇, 東京べ〇, 沖縄〇部病院などは米国流のトレーニングを売りにしてますが, 普段の日常業務が忙しくて休みも取りづらいために初期研修中に渡米するのが難しくなります. 米国式のトレーニングを日本で受けたい先生方にはお勧めですが, 初期研修後すぐに渡米することを検討している方は確実に楽なプログラムに進むべきです. うちの母校は渡米に対して支持的でExternshipやUSMLEなどのための休みを好きなだけとらせてくれました. 研修プログラムのサポートもあり研修二年目に米国内科マッチングに参加し, 無事, NYの某大学関連病院で内科レジデントとなりました. そして, 内科三年目で循環器内科のFellowship matchingに参加しました. 以下, Fellowshipの簡単な流れです. 

 

米国でのFellowshipまでの流れ

 

米国の場合, 卒後すぐに内科, 外科, 精神科などに分かれます. 内科の場合, 各病院, 総合内科医が病棟を管理して循環器内科, 消化器内科などの専門科がコンサルタントとして患者をフォローする体系をとることが多いです. そのため, 内科のトレーニング中に様々な疾患に触れることができます. 日本も総合内科のトレーニングを必須にするような流れのようですが, そもそも一般内科の病棟がない病院がほとんどだし, しっかりとして内科トレーニングを受けた指導医がいない状況でどうやるのか見物です.

 

すだちくん (徳島県のご当地キャラ)