朝起きて、すぐの義母が、
「
さんはどうしたっけ?」
と、聞いてきた。
さんは、同居していた義父の母。
11年前、震災の前日に亡くなっている。
今、義父母が寝ている部屋は、元さんの部屋なので、
亡くなっていることは、合点がいったらしい。
けれども何の記憶もないので、
今度は、お葬式をちゃんとしたのかどうかを、気にし始めた。
続きです。
仕事に出掛ける嫁に向かって、
「ねえ、お葬式って○○寺でやったの?私、全然、記憶にないんだけど…」
「ちゃんと義母が取り仕切ってやったから、心配しないで!行ってきます!」
認知症あるあるで、
周りがどんなに説明しても、信じてくれない。
自分の頭の中にないことは、信じられない。
今日一日、きっと義母は混乱したままで、
義姉に電話をしたり、証拠の書類を探したりするんだろうな~。
そう思って、仕事から帰宅すると…
義母、いたって普段通り。
むしろ、末娘とのやり取りを、楽しそうに語ってくれた。
「今日、
ちゃんがね、~だったのよ(笑)」
「へえ…でさ、朝の話の続きなんだけど、悩んでたよね」
「なにが?」
「いや、
さんはどうしたんだっけ?って聞いてきて、
震災のことも、記憶にないって」
「え?なんのこと?」
あれ?
今朝のこと、忘れてる?
もう、悩んでない?
「あー、うん。じゃあ蒸し返すことないね」
「なに?なんのこと?」
「いや…朝、義母が”おばあちゃんってどうした?”って聞いてきたんだよ」
「そんなこと言ったぁ?」
「
さんといえば、次の命日は13回忌かも」
「あ!命日は3月10日でしょ?ほら~ちゃんと、スルッと出てくる!」
朝のどんよりとは大違いで、満面のドヤ顔
「うん、スルッと出て来たね。大丈夫だね」
朝にボケ具合が強まるのは、脳への血流が低下しているためで、
これも、認知症あるある、らしい。
そして、最近は、
数分おきに同じ話をするぐらい、記憶は残らないので、
朝の爆弾発言を覚えてなくても、不思議ではない。
ムダに一日中悩んだりしなくて、よっぽど良かった