こんばんは、福岡市長の高島宗一郎です。


 福岡市役所は九州の中心、天神のど真ん中にあります。


 その庁舎の横には、約3000㎡の広場があって、市のイベントなどで利用されています。しかし、この都心の一等地のこれだけのまとまった面積の広場が、年間たったの90日程度しか利用されておらず、残りの270日程度は何も使われていないのです。

$高島宗一郎オフィシャルブログ「Open・Fair・Free」Powered by Ameba


 ハトがのんびり歩き回る広場も、のどかで心が和むという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、民間的感覚でとらえれば、これは大きな損失です。大きな経済的価値を生む都心の一等地を無活用で遊ばせているのですから。

$高島宗一郎オフィシャルブログ「Open・Fair・Free」Powered by Ameba


 そのため、福岡市では今後3年間の広場の運営事業者を公募し、先日、その事業者が決定しました。広場を貸し出すことで年間およそ1000万円の新たな財源が生まれ、かつ、その事業者による民間のアイデアを活かしたイベントの開催によって街に新たな賑わいが創出されます。


 また、これまではイベントの度に仮設のステージを造ったり、電源車を用意したりする必要があったため、その設置費用は年間30回弱のイベント分を合計すると、約1200万円もかかっていました。ここに常設の屋根と電源などを設置することで、この毎回の費用を節減することもでき、民間がイベントを開催しやすくなります。


 昨年4月に九州の情報発信拠点としてリニューアルした市役所の一階ロビーは、おかげさまで、多くの皆さんにご利用いただいています。利用者数はリニューアル前と比較すると4倍以上、また、新たにオープンした障がい者が働くカフェ「ユニバーサルカフェ」も好評でオープン以来約1500万円を売り上げています。
 そして今回の市役所横の広場の貸し出しは、民間のアイデアを活かしたイベントを開催できるようにすることで、街ににぎわいを生み出し、また、市にも1000万円が入ってくる、さらに仮設ステージなどの設置費用も節約でき、環境にも優しい、まさに一石四鳥の取り組みなのです。


 福岡市は3年連続で国際コンベンションの開催件数が東京都に次いで全国第2位になるなど、観光コンベンションについては一定の成果が上がってきていますが、都市間競争に勝ち残るためには、福岡の魅力をさらに磨き、アピールしていく必要があります。


 そのためにも、行政がこれはダメ、あれもダメ、と規制ばかりするのではなく、民間が自由な発想でアイデアを出し人を引き付ける、魅力ある環境を整えていくことが大切です。そのために公共空間をどのようなルールの下で活用すればいいのか、あるべき姿を考え、課題があれば一つひとつクリアしていく。これこそが大切な行政の役割だと考えています。