こんばんは、福岡市長の高島宗一郎です。

 私は今年度を福岡の観光元年と位置づけ、経済観光文化局を作りました。「観光」という横軸を通して福岡の施策を行うことは意外にも初めてなのだそうです。例えば福岡市役所で観光といえば、「経済振興局」の「集客交流部」という部署が集客施策を行い、一方で福岡の貴重な観光資源でもある歴史的な文化財や遺跡などは教育委員会が所管して研究と保存を目的として管理する。集客力のある文化事業やスポーツイベントは市民局が、市民ためのレクレーションという観点から実施する。これでは福岡の一番の成長戦略である観光施策をスピード感を持って進められません。オール福岡体制を構築するため、教育委員会の文化財部門や市民局の文化部門なども集約した経済観光文化局を作ったのです。

 ちなみに屋台の担当部署はかなり複雑です。集客交流部は屋台を福岡の魅力としてPRする一方、保健所は食品の規制をし、歩道を管理をする区役所が道路占用許可を出し、県の管轄下の県警が道路交通法に基づいて規制を行う。この調整が大変だからこれまで行政は屋台の問題に触れたがらなかったのかもしれません。

 さて福岡の経済を活性化するためには、福岡市における消費を増やすことが必要です。そのため短期的に効果をあげるには、観光やコンベンション(国際会議や大型のスポーツイベントなど)などで福岡を訪れる人を増やすことです。消費が増えれば、市民の9割が従事している第三次産業(小売業やサービス業)だけでなく、農業、漁業、不動産、土木や建築、交通など、都市全体が潤っていきます。福岡市はコンベンション開催件数が東京都に次いで日本で第二位です。港エリアに国際会議を行える施設が集積していること、中心街まで15分弱という世界一便利な国際空港や新幹線など交通の拠点性、アフターコンベンションとして安くて美味しいものが溢れている、中洲など一定の規模がある歓楽街が整っている、などなど優位な点が多いからです。国際コンベンションでは一人平均54000円の消費をして頂けます。そこで短期的に福岡経済にダイレクトに影響があるコンベンション誘致にも力を入れています。去年特に誘致に力を入れた国際ユニヴァーサルデザイン会議はこの秋にも開催されますし、同時期にはラグビーのゴールデンオールディーズもありますし、国際泌尿器学会も開催されます。

 また私はクルーズ船の誘致にも力を入れています。手荷物の重量制限がありませんから、飛行機での旅行と違ってたくさんの買い物ができるんです。例えば朝入港して夕方出航するまでに一人平均44,000円の消費があります。通常の旅行での消費額が一日当たり平均1万円弱ですから、クルーズは経済的に大きな効果があります。去年誘致に力を入れたボイジャーオブザシーズという船は3,800人乗りで、アジアでも最大級です。ちなみに国体通りから天神コアくらいまでの長さがあります。今年初寄港して頂きましたが、都市高速から見えるひと際大きな船をご覧になりましたか?

 他にも2階建てオープントップバスや無料Wi-Fiの整備、映画やドラマ誘致など、多くの方に福岡に来て頂くため、福岡の魅力発信の取り組みを行ったり、国へ制度の提案を行っています。もちろん多くの観光客が急にいらっしゃると問題も起きます。特に海外からの観光客であれば文化の違いなどから摩擦もあります。しかし従業員ベース、生産ベースでも福岡の9割の経済を占める第三次産業を活性化するためには、国内、海外からたくさんの人を呼ぶことが、雇用を確保し、経済を活性化させ、税収を生み、福祉財源にもなるということを市民と共有しながら、1つずつ問題も解決しながら施策を進めていくことが重要だと考えます。