●朝晩は冷え込むようになって来ました。
私の周りでも風邪をひいている人が多いようです。
今回は危機管理について取り上げる2回目です。
危機管理業務は幅が広く、個人の生活から企業運営にも関わって来る場合があります。
今回は、主としてクライアント個人に関する部分について触れてみたいと思います。
●任務は続く
警備業務として依頼を受ける事があれば、可能な限りクライアントの利益確保の為に尽力します。
契約次第ではありますが、身辺警護などは24時間体制になる場合もあります。
この場合、クライアントの仕事中は勿論、自宅に戻ってからのプライベートな時間や生活の中でも業務が継続します。
例えば、仕事中は警護員が直近についていて安全を確保したが、自宅に帰ったら無防備になってしまうような状況では意味がない訳です。
この場合は、自宅も人的な警戒と機械警備を合わせて警戒レベルを上げる事になります。
防犯カメラや各種センサーなど、最近の機器は性能が良い物が沢山あります。
しかし、機械は故障があります。また、人はミスをします。従って、機械と人を組み合わせた警備体制がベターだという事になります。
その様に警備体制を作っても、クライアントが自宅の中で、例えば浴槽で滑って転んで怪我をしたら意味がありません。
この為、許されるのであれば自宅内部も警備の視点で確認し、何らかのリスクを感じさせる箇所は修正を要請します。
●防犯だけではない
防犯上は勿論、防災上の修正を行う場合もあります。
例えば緊急時の避難導線になる廊下に物が多ければ、移動を要請します。
玄関なども同様です。
非常時の備蓄品なども、多くは既製品を購入して終わりになってしまいますが、本来は自身で使う為にカスタムする事が望ましいと言えます。
また、その置場所も重要です。緊急時に備蓄品や非常持ち出し袋を探す事ほど無駄な事はありません。
防犯や防災の備えと平行して、備えなければならないのが、クライアントの体調管理です。
特に持病などがある場合は、専用の薬を余分に用意する事も必要になるかも知れません。
非常時だから薬が購入出来ず、クライアントが体調を崩すのを見ているだけなど、警護員のする事ではありません。
ここまで万一に備え、配慮をしたとしても、警備や警護が成功する為に絶対に欠く事が出来ないモノがあります。
●欠かせない要素
それはクライアントの協力です。
どんなに警備や警護が安全確保に尽力しても、クライアントの協力がなければ完全に護る事は難しくなります。
過去の例では、クライアントがお酒の場で警備や警護を必要とする状況についての愚痴を言っていた事がありました。
お酒の場は様々な人がいますので、その様な言動から情報が洩れる可能性は小さくありません。本来であれば、こんな事は絶対にあってはならないのです。
似たようなケースで、警護員が巡回している最中に、無断で食事に出てしまったなどという事もあります。
この様な事態を防ぐ為に、警護の重要な業務の1つに、クライアントの教育も含まれます。
教育というと偉そうな響きになりますね。しかし、護られる側であるクライアント自身が適切な危機管理を実施出来なければ、万全な体制で護る事も出来なくなってしまうのです。