京極夏彦著
「了巷説百物語(おわりのこうせつひゃくものがたり)」

長きに渡った「巷説百物語」シリーズも
遂に最終巻
1149ページという、京極ファンにはお馴染みの
レンガ本
この分厚さ!

以前、百鬼夜行シリーズの何だったかで書いたことが
あるのだが、むかし電車通勤をしていた時、電車で読書をしていたのだが、まぁ持ちにくいから読むのが大変なこと💦
近くにいた他の乗客も同じように読んでいるのを
見たときには、ある種の感動を覚えた記憶があります。「おー!ここにも同志が!」みたいな(笑)
内容は、もう完璧
20年以上にも渡る同シリーズの執筆、
そして、1つの刊行に長いスパンがあり、
第5弾「西巷説百物語」から第6弾「遠巷説百物語」
に至っては10年以上のスパン。
(百鬼夜行シリーズの鵺の碑は17年待ちましたが…)
またそれぞれが時系列になっているわけではない。
なのに、その全てが何の違和感もなく、
一から十まで見事に繋がる。
そして更に百鬼夜行シリーズにも繋がりがある。
もう見事としか言いようがありません。
これだから京極ファンはやめられない。
本筋とは別に
私の心に残ったシーン
北町奉行 遠山金四郎
いわゆる遠山の金さんのセリフ
「いいかい、藤兵衛さんよ。人も刻(とき)も
渡世も銭に置き換えられて、何もかも
金に換えられたならな、そりゃ解り易いぜ。
金持ってる奴が偉くて強いってことだろ。
しかも好き勝手に金を稼げることになってんだから、
稼げねえのは稼げねえ奴が悪い
ーってことよな」
「だがそりゃ建前だよ。金は稼げる奴しか稼げねえ
ーそういう仕組みになってんだ。
身分ってものがあるからな。百姓は結局
地べた耕すしかねえ。土ィほじくって
銭が湧き出るかよ。出ねえんだよ、
蚯蚓じゃねえんだ、銭は」
「貧乏人は稼げぬ仕組みか」
「より貧しくなる仕組みだよ。
絞るだけ絞って、吸い上げるだけ吸い上げて、
金持ちだけが肥えて太って
ーその上に武士が乗っかる仕組みだよ」
「その仕組みがあるから金持ちは金が稼げる。
その金持ちが支えるから武家は安泰だ。
だから武家はそういう仕組み作って金持ちを守る。
ーそれ以外の民草はな、ただの使い捨ての、道具だ。
そうしようてえ改革なんだよ、これは」
~中略~
「役にも立たねえ大砲撃って門前払いして
どうするよ。相手怒らせるだけじゃあねえか。
国防ったって、軍艦の1つもねえんだぜ。ねえならねえで遣り方ァいくらでもある。なのに軍艦作るにゃ金が要る。だからもっと搾り取れだよ。
鯔のつまりは商人が儲かるだけだ」
~引用:京極夏彦著「了巷説百物語」P723~725より
一部抜粋
まさしく今の世の中を表している台詞