猛暑の中、
早朝に草刈を終えてさっぱりしました。
家の中はそんなに汚れてはいないけれども
時々は掃除しないと落ちにくくなるところが
出てきて大変です。

力任せに出来ることでもなくなったし、
汚れを知って掃除の仕方を見直してみました。
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●風呂場の水あか、トイレの黄ばみ、台所の油

その正体は?



風呂場、トイレといった水廻りや、
油を使う台所の掃除では
少し気合いを必要とします。

これらの場所には水あか、
黄ばみ、
茶色いべたつきなど、
ちょっとこすっただけではとれない
やっかいなよごれが、
いつのまにかあらわれます。


水あかの正体は水中の鉄やカルシウムです。

トイレの手洗い場や洗面台などに
みられる赤色や黄色のしみ、
ステンレスの浴槽や流し台、
窓ガラス、
電気ポットにみられる白い大きな斑点などは
すべて「水あか」とよばれるものです。

見た目は派手なよごれですが、
不衛生なものではありません。

水あかの正体は、
水の中にとけていたイオンが
結晶となってあらわれたものです。

水あかには主に2種類あります。


一つは、
水の中の鉄イオンが結晶になった
水あかで赤色や黄色をしています。

この水あかはトイレの手洗い場や洗面台など、
たえず水がわずかに流れている場所にできます。

水の量がわずかなため、
水中の鉄イオンは空気中の酸素によくふれ、
酸化(電子を奪われる反応)されます。

鉄イオンが酸化されると
水にとけにくい性質になり、
とけきれなくなって結晶(水あか)として
あらわれます。


もう一つの水あかは、
水の中のカルシウムイオンや
マグネシウムイオンの結晶で
白い色をしています。

この水あかは、
水分がまだ残っているところに、
何らかの方法で熱が加わると生じます。

熱せられた部分で水が蒸発し、
水中にとけていたカルシウムイオンや
マグネシウムイオンが、
水にとけにくい物質となって析出し、
水あかとなります。


水あかを落とすには、
鉄イオンやカルシウムイオン
(どち水らも正のイオン)を
それぞれ適切な酸の負のイオンと
反応させるのがよいです。

カルシウムにはお酢(酢酸)やクエン酸、
鉄にはシュウ酸がよく、
塩酸(家庭で使用するものは薄い塩酸)は
いずれにもききめがあります。

たとえば浴槽にできた白いカルシウムの水あかに、
台所にあるお酢を使うと、
カルシウムイオンが
お酢の負のイオン(CH2COO-)とくっつき、
水にとけやすい
酢酸カルシウムになって水にとけていきます。


●トイレの洗剤はよごれの種類ごとに使い分けます。

便器の黄ばみや黒ずみの主な原因は、
鉄イオンの水あかであり、
そこに「尿石」がくっついてきます。

尿石は尿中のカルシウムを含む結晶です。

便器に残った尿中の尿素は、
細菌によって分解されて
アルカリ性のアンモニアを生成します。

こうして尿はアルカリ性になり、
その結果、
尿中のカルシウムイオンが
炭酸カルシウムや
リン酸カルシウムとなって析出します。


水あかや尿石は酸性水溶液で落とし、
排泄物のよごれは漂白剤入りの
アルカリ性洗剤で落とすのがよいです。

しかし、
これうらをまぜると
有毒な塩素ガスが発生することがあるので
絶対にまぜてはいけません。


●換気扇のべたつき

酸化した油が、
換気扇のべたべたよごれをつくります。

長く使ってきた台所の換気扇をみると、
茶色く、
べたべたとしたものが
へばりついていることがよくあります。

換気扇など、
めったにさわることもないのに、
なぜこんなにひどくよごれているのだろう、
と不思議に思った人もいるかもしれません。

この換気扇のよごれの正体は、
料理中に飛んだ油です。

まず、
料理中に高温となった油が液体から気体になって
換気扇まで飛んでいき、
付着します。

付着した油は、
空気や熱によって酸化されます。

油などの有機物は、
酸化されると黄色や茶色に
みえるようになる傾向があるようです。

また、
調理油として使われている植物油の場合、
油を構成する炭素原子のつながりの中に二重結合
(二つの原子どうしが2本の
“手”で結合すること)があります。

この二重結合が酸素に攻撃されて
結合がはずれると、
油どうしがこのはずれたところどうしで
くっつきあいます。

こうして、
もともと液体状でさらさらだった油は、
くっつきあってかたまってしまうのです。

この、
料理中に生じた気体の油は、
台所だけでなく、
ほかのこの部屋にも飛んでいきます。

たとえば、
ほかの部屋の窓ガラスの内側に油がくっつくと、
油が接着剤のかわりになって、
部屋を舞うほこりなどをくっつけ、
窓ガラスをよごすのです。

なお、
ひどい換気扇よごれには、
漂白剤入りの強アルカリ性の
洗剤を使うとよいです。

ちなみに、
ミカンの皮には、「d-リモネン」という、
油を落とす作用のある物質が含まれているため、
ミカンの皮でフライパンや食器をふくと
油を落とすことができるといいます。


●界面活性剤とアルカリ性物質は洗濯の味方

では、
このような油よごれは
どのように落としたらいいのでしょうか。

衣類のよごれには皮膚のあぶら、
皮膚と皮膚がこすれあって落ちた細胞、
汗など、
私たちの体から出るよごれと、
外気の煤煙、
食物の食べこぼし、
泥など外の環境からついたよごれがあります。

よごれの中で最もやっかいなものの一つは油です。

油よごれを落とすために
洗剤に入っているのが界面活性剤です。

界面活性剤の分子は、
水になじみやすい部分(親水基)と
油になじみやすい部分(疎水基)をもちます。

この分子は、
衣類についた油に疎水基を向けてくっつき、
よごれを球状に取り囲んで
衣類からひきはなします。

窓ガラスやあまりひどくない換気扇の油よごれは、
界面活性剤で落とせます。

洗剤の中には、
より洗浄力を高めるために、
界面活性剤に加えて
弱アルカリ性物質が入っているものもあります。

弱アルカリ性物質は、
油以外のよごれ落としにも広く効果があります。

アルカリ性物質は
水素イオンを奪う性質があります。

このため、
衣類と衣類についたよごれの表面の分子は、
水素イオンを奪われて
負の電荷をおびます。

ここに、
水中に存在する正のイオンが引き寄せられると、
ともに正のイオンを引き寄せた状態の衣類と
よごれの表面は反発しあってひきはなされます。

こうして衣類からよごれが落ちるのです。

弱アルカリ性洗剤にはさらに、
大きな分子どうしの結合を細かく切る漂白剤、
油を分解する酵素、
タンパク質を分解する酵素などが
含まれている場合が多いです。

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一口によごれといっても、
成分や発生のしくみはさまざまです。

よごれ成分の化学的な性質を知ったうえで、
適切なよごれ落としを選ぶことが、
掃除上手になる一つのコツみたいです。

力任せにゴシゴシするのは
やめることにします(笑)