古い技術雑誌を引っ張り出しています。

不安とうつについて
興味深い記事がありましたので、ちょっと紹介。


ストレスを受け続けると・・・


ここまで明らかにしてきたように、
私は不安とうつには関係があると考えている。

だが、
持続的な警戒状態とある種の持続的な無力感は、
おそらくまったく異なる状態だ。


ストレスによって異なる反応が
起きる理由は何だろうか。

答えは
ストレスがどれくらい慢性的なものか
という点のようだ。



ラットにときどき軽度の電気ショックを与え、
レバーを押してそれを回避するように訓練すると、
ラットはこの課題を簡単に習得する。

そのラットをレバーのある檻に入れると、
これから起きる事に対処できるという予感から、
快感物質のドーパミンが
きわめて活発に前頭葉へ放出される。

この実験のように、
グルココルチコイドの分泌増加が
適度で一時的なものなら、
このホルモンによって
ドーパミンの放出が増加する。


だが、
レバーがあっても接続されておらず、
いくら押しても電気ショックを
止められない場合はどうなるだろうか。

ラットは最初はショックを止めるための
新しい対処方法を探そうとして、
非常に緊張を高めた状態になる。

ラットはふたたびコントロールしようと、
必死に何度もレバーを押す。

これが不安や支離滅裂な対処行動の本質だ。


このような状態では、
生理学的にはアドレナリンによる
交感神経系の大幅な活性化のほか、
青斑核からのノルアドレナリンの分泌の増加や
グルココルチコイド分泌の中程度の増加という
特徴が生じる。


電気ショックが続くと、
ラットはどんな対処行動も無駄だと気づき、
事態は一変する。


緊急事態のストレス反応を担うのは
闘争一逃走反応を主に支配するアドレナリンと
交感神経系だが、
ストレスが持続すると
グルココルチコイド濃度の
上昇をともなうストレス反応が優位となる。

やがて重要なさまざまの神経伝達物質が枯渇し、
ラットが対応しようとするのを止めるとともに、
脳の化学的な状態は抑うつの場合に似てくる。

ラットは何もできなくなり、
受動的で萎縮
してしまう。


パチパチと音を立てて燃える危険な火事を
不安だとすれば、
抑うつは火を消すためにその上に
投げかけられた重い毛布のようなものだ。

+++++++++++++++++++++++
20年前の日経サイエンスの記事ですが、
今読み返してもなるほどと思えてしまいます。

ストレスを受け続けた時に身体の中で起きている
反応が見えるようです。
最後はどうにも出来なくなって
重い毛布を被るイメージがリアルです😳😴