古い技術雑誌を引っ張り出しています。

電子レンジについて
面白い記事がありましたので、ちょっと紹介。


電子レンジは「マイクロ波」で
食品を加熱する器械である。



電子レンジに使われるマイクロ波は、
波長が決まっていて、
約12.2センチメートルである。

電波であるマイクロ波を当てると物が温まるのは、
一見、不思議だが、
太陽の光や赤外線ストープで体が温まるのと、
原理的にはいっしょのことです。


電磁波とは、一言でいえば、
進行する「電場の強弱の波」です。

電場とは、電気を帯びたものを
動かすことのできる空間のことです。


電子レンジに使われるマイクロ波の場合、 
電場はブラス、マイナスと向きを反転させながら、
1秒間に24億5000万回も振動します。 

食品中の水分子は電気的に中性ですが、
酸素原子側にマイナス、
水素原子側にブラスの電気が
かたよっている(分極している)ため、 
マイクロ波の電場の影響を受けます。


水分子は、マイクロ波を受けるとはげしく回転し、
回転する水分子は周囲の分子とぶつかって、
分子レベルの“摩擦”をおこします。

その結果、食品が加熱されるわけです。


少し意外ですが、水分が少ない食品の方が、
電子レンジで短時間で加熱できるといいます。

水はマイクロ波をよく吸収しますが、
一方で温度が上がりにくい(熱容量が大きい) 
という性質があるため、
水分が多いと加熱に時間がかかってしまいます。


「マグネトロン」とよばれる装置から
放出されたマイクロ波は、
電子レンジの庫内で反射をくりかえしながら、
食品に吸収されていきます。

のぞき窓には、網がついていますが、
この網は、マイクロ波を窓の外に
もらさないようなしくみになっています。

波長が非常に短い可視光
 (0.4~ 0.8マイクロメートル程度。
マイク口は100万分の1)は、
この網の穴を通って外にもれ出しますが、
波長が12.2 センチもあるマイクロ波は、
この穴から出られないのです。


マイクロ波にとって多くの食品は“半透明”で、
食品の内部を直接、加熱できることが特徴です。

食品にもよりますが、イモなどの場合、
マイクロ波は表面から3センチほども中に入ります。

この浸透性は便利な反面、卵や殻つきの栗、
ソーセージなどが破裂する原因にもなります。

内部が急激に高温になって膨張し、
殻などをやぶって飛び散るので、危険です。




電子レンジには、加熱むらができやすいという
困った面もあります。
波長が長いマイクロ波の性質上、
電子レンジの庫内に、電場の強度のむら
 (波の振幅の高低)ができやすいことが一因です。

約6センチ(波長の半分) おきに
電場のむらができます。

また四角形の容器のかどや、
食品のでっぱった部分は、
周囲からより多くのマイクロ波を浴びるので、
強く加熱されやすいです。

均一に加熱したいなら、丸い容器の方がよいです。


塩分(ミネラル分)の濃度などによっても、 
加熱むらができます。

塩やミネラルが多く含まれる食品 
(ハム、みそ、スープ、カレーなど)では、
帯電したイオンがマイクロ波を強く吸収します。

そのため表面ばかりが極端に加熱されてしまい、
マイクロ波が食品の内部にまで浸透できず、
その結果、外側ばかりが熱くなって、
内部は冷めたまま、ということがおきます。

このような場合は、
食品を小さな丸い容器に分けたり、
加熱時間の3分の2くらいでいったん取りだして、
かきまぜたりするとよいみたいです。


冷凍食品を電子レンジで解凍したら、
表面は煮えているのに、中は凍ったまま、
という失敗をした経験のある人も
多いと思います。

氷は、液体の水とくらべてマイク口波を
吸収する効率が2~3桁も低く、

冷凍食品の表面がとけはじめた状態で解凍すると、
表面でマイクロ波が吸収されてしまい、
内部にマイクロ波が届かず、
極端な加熱むらができてしまいます。

これをさけるには、カチカチの状態のまま、
すぐに解凍するとよいそうです。

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電子レンジは、超便利なキッチン用品で、
毎日必ず使っています。

食品が温まる仕組みを知ると、
レンジの中で何が起きているかイメージできて
楽しいですね。

火を使わずに温まるのは良いですけど、
金属を入れると、放電して発火しやすいので
要注意です💥😅