今でも時々鮮明な光景が蘇る程の
社会人時代の思い出があります。


助手の仕事では、
様々な基礎実験を経験できました。




石炭ボイラーの基礎実験は、
小型の実証炉を作って、種類の違う石炭と
注入空気量で燃焼温度や、排出水分量、NOx、
Sox、CO等の量を計量し、

最適の燃焼条件を探ったり、
ボイラーの構造を検討するものでした。

結果を予想しながら実験する手法が新鮮でした。


LNGタンクの構造解析は、
これも小型のLNGタンクを実験場に設置して、
LNGを模した塩水を使っての実験でした。

塩水の濃度と流速を変えて、タンクに注入し、
塩水と真水がロールオーバーという反転現象が
起きる条件を探りました。

ロールオーバーは爆発を誘引します。
LNGを塩水で代替する手法に、
類似な性質を調べながら決めることを知りました。


炭塵飛散モデルの数値化では、
USAから入手したシミュレーションソフトの
プログラムコードの解析やバグ取りを行いました。

地道なコード解析や、大型汎用コンピュータの
扱いを教えて頂きました。

研究者の時間の使い方や、
集中の仕方も体験しました。

お昼休みのチャイムと同時に、
将棋板がパッと開き、瞬時に対局が始まりました。
この切り替えの速さには驚きました。


固体燃料電池の焼成実験は、
温度調節コントローラのプログラミングを
覚えました。

電極材料の混合割合や、燃焼温度、温度勾配を
変えて、真夜中に自動で燃焼実験を行い、
翌朝、出来具合を確認して纏めていました。

人目には付かない地味な基礎実験の毎日で、
出口の見えない感もあり、
忍耐と体力が、勝負を分かつ世界でもありました。

この時期、私の胃が悲鳴をあげ始めていました。