電子回路設計者として37年間の試行錯誤で得た
様々な経験や出来事を思い出しています。


小さな機械を、群れで動かす分散協調回路方式は、
残念ながら闇に葬られましたけど、

その方式のキーとなる機能が1つありました。

その機能は、
非同期に、複数の信号が変化してしまう為に、
同時に、複数の信号を受けてしまう
ことを回避する「調停」機能でした。

簡単に言うと、信号を交通整理する機能です。



調停機能は、この方式で回路化しました。

・複数の信号に、優先度を付ける。
・個々の信号を、位相をずらした基準クロックで
 同期させる。
・同期後の信号の変化を監視する。
・同期後の信号の変化で協調回路を起動させる。
・協調回路は基準クロックで動作し、
 優先度に従って順次信号を処理する。

弱点:
基準とするクロックが必要で、
接続する信号の数に比例して処理が遅くなる。

当時の簡単な機能ブロック図↓




実際に動くかを確認するために試作し、
実験を繰り返しました。
試行錯誤して、機能の完成度を上げるために
FPGAというデバイスを使いました。

真ん中に大きなLSIが2個あるのが
そのデバイスです。

試作したデバッグボード↓




回路は、なかなか完成しませんでしたが、
PFGAと言って、自分で回路を作り込みできる
デバイスのおかげで、繰り返し変更しながら
確認することが出来ました。

PFGAは、Field Programmable Gate Array
の略です。

完成後の調停回路は、
多数の非同期回路の間で、
ちゃんと交通整理できることも確認できました。

交通整理をイメージした機能ブロック図↓



マイコンの驚異的な技術革新の裏で、
日の目を見なかった可哀相な技術でした(笑)