電子回路設計者として37年間の試行錯誤で得た
様々な経験や出来事を思い出しています。


中央演算処理装置のプリント基板設計が終わり、
VLSIのシミュレーションも終わり、
試作が終わるのを待つばかりになりました。


ソフトウェアの作りこみも進んでいました。
C言語でソフトウェアを書き進めていました。

ソフトウェアチームは5~6人いたと思います。
ハードウェアチームは2人なのに、多くない?

ちょっと不満に感じながらも、
出来上がりを眺めていました。




ソフトウェアを細かなブロックに分けて、
そのブロックを日本地図に描き分けていました。

ブロックに割り当てたソフトウェア・ブロックを
書き終えたら塗り潰していました。

ソフトウェアチームは、チームワーク良く
作業を進めていたようでした。




ソフトウェアが書き上がって、
いよいよ試作の中央演算処理装置に火を入れます。
電気を入れることをこう言ってました。

交換機の電源は、直流の48Vでした。
これ、感電するとけっこうキツイです。

一度だけ、一瞬感電しました。
思いっきり痛いです。

電気を触るときは、右手で触りましょう。
左手より心臓からちょっとだけ遠いからです。


マイコンが載った回路を検証するために、
必須となる計測器には、

 インサーキットエミュレータ、
 ロジックアナライザ、
 高速オシロスコープ、
 シリアル通信モニタ

等があります。




回路検証は、
事前に回路機能毎に検証項目を洗い出して、
項目毎に、重要な信号波形を確認・保存します。

少しでも違和感があれば、回路を見直します。
違和感には、経験が伴います。

見直しは、回路図上で考えたり、
プリント基板の信号線を切って、
繋ぎ変えたりしました。
ハードウェア設計者には、器用さも必須です。




回路検証が始まると、なかなか中断が難しく、
午前様になることもシバシバでした。

真夜中まで検証し、疲れ果てて帰ったとき、
実験室のはんだコテの電気を消し忘れてしまい、
夜中の警備で発見されてしまいました。

翌日の朝、始末書を書かされてしまいました。
疲れたときは危険です。


沢山の回路間違いが見つかりました。
幸い、VLSIを作り直すことはなく、
大きな問題は回避できました。

回路シミュレータの威力はサスガです。

VLSIは、作り直すと、
当時で200万円程掛かりました。
ヒヤヒヤでした。

プリント基板を作り直して一件落着でした。
プリント基板の作り直しは10万円
くらいだったかな?

達成感は大きい仕事でしたけど、
寿命は確実に縮まったかな~と感じる
超つらい回路検証の仕事でした。