品質管理者として10年間の試行錯誤で得た
様々な活動や分析結果を思い出しています。


出荷検査結果の改ざんと検査NG品の出荷が
報道されています。

出荷検査結果を改ざんし、
検査NG品を出荷してしまう結果には
様々な原因が絡み合っていると思いますが
私が大きな原因と感じたことは、

「力関係」でした。


抽象的な表現ですが、その力には以下があります。

1.営業受注残解消圧力  (売上目標金額の達成)
2.工場出荷計画達成圧力 (出荷目標金額の達成)
3.製造不良率目標達成圧力(製造品質目標の達成)
4.工場内原価率目標達成圧力 (原価目標の達成)
5.設計不良率目標達成圧力(設計品質目標の達成)


製品を製造、出荷検査の結果、不合格になった
場合、不合格の結果に対して、
これらの圧力源から、早期出荷要求を受け、
原因の調査と対策の実施が進められます。

これらの圧力源に、出荷責任は問われません。

出荷可否の責任と決定権は、
工場の品質管理部署が持ちます。



不合格になった原因は以下の視点で調査されます。
1.部品品質のバラツキ
2.組立品質のバラツキ
3.検査器・計測器の点検・校正
4.検査基準と設計基準の整合性
5.設計基準と認証規格の整合性

この調査で大きく要求されることは
出荷可否の決定権・責任を持つ品質管理部署の
高度な調査・交渉能力です。



原因が部品・組立・検査にあった場合、
力関係は品質管理部署が優位で、
対策が実施されるまで出荷は止まります。

原因が設計基準や認証規格にあった場合、
品質管理部署は、設計基準と認証規格を熟知し、
設計・認証部門と交渉出来る力量が求められます。

品質管理部署の交渉能力が劣っていた場合
対策は実施されず、不合格品も出荷されます。


ここからは不正出荷に至った私の推測ですが、

品質管理部署の力量が追い付いて行けず、
出荷圧力に対して、
出荷停止の論理的な根拠を示せず、
出荷圧力に押し切られてしまったと思われます。

製品のハイテク化が進んだことで、
出荷圧力の「力関係」を正常化させる為に、
品質管理部署の力量向上が必要と思われます。