古い技術雑誌を引っ張り出しています。

むし歯のでき方やフッ素、キシリトールについて
面白い記事がありましたので、ちょっと紹介。

むし歯はある種の感染症で、
「ミュータンス菌」など、
むし歯の原因となる細菌(以下、むし歯菌)が、
感染することでおきる。



では、
口内を徹底的に除菌すればよいかというと、
そうともいえない。

口内には、カビの発生を予防するなど、
有用な細菌もいるからだ。


生まれたばかりの赤ん坊の口には
むし歯菌はいない。

主な感染ルートは、母親からだという。

乳歯が生えてきている1歳半~2歳半ごろが、
もっとも感染しやすく、
むし歯菌が口の中にすみついてしまう時期だ。

スプーンやはしを共有したり、
食べ物を口でかんであたえたりすることで、
むし歯菌は赤ん坊に感染する。

赤ん坊がいる家庭や、
近く産まれるという家庭は、
家族でむし歯対策を行うことがすすめられている。


●歯垢中の細菌が酸を分泌し、歯をとかす

むし歯は感染したら
即発症というわけではない。

むし歯はさまざまな要因がからんでできる。

むし歯への対策を考えるために、
むし歯がどのようにできるかを見ていこう。


まず、
むし歯菌が食事で口内に入ってきた砂糖を使って、
ネバネバレた物質、「グルカン」をつくりだす。

グルカンは歯の表面にくっつき、
むし歯菌はここをすみかにして増殖する。

こうしてできた細菌のかたまりが
「歯垢(プラーク)」だ。


歯垢の中のむし歯菌は、
食物中の砂糖や炭水化物(糖質)を分解して、
乳酸などの酸をつくりだす。

この酸が歯の表面のエナメル質、
さらにはその内部の象牙質までとかして、
歯を構成するカルシウムやリンがとけだしていく。

これがむし歯だ。


●唾液がむし歯を防止する

私たちはむし歯に対抗する
強力な武器をもっている。

それは唾液だ。

唾液はほぼ中性で、
食事中にむし歯菌によって酸性に傾いた口内を、
食後に中性にもどすはたらきがある。

また、抗菌物質も含んでいる。

唾液中には、
カルシウムなどの無機質が含まれており、
酸でとけた歯を修復する。

この過程が「再石灰化」である。

初期のむし歯なら再石灰化で
元通りにすることも可能だ。


●「ダラダラ食べ」はむし歯につながる

日本歯科大学東京短期大学歯科生学科長の
福田雅臣教授は、次のように語る。

「むし歯予防にはよくかむことが大切です。

唾液がよく分泌され、
歯がこすれ合い、
ほおの筋肉が動くことによって、
歯垢もつきにくくなります。

一方、食事のあとも間食して、
ダラダラと食べつづけると、
むし歯菌に歯垢や酸をつくる材料を
あたえつづけていることになり、
むし歯になりやすくなります」。


唾液は、
睡眠中には分泌される量が減るので、
寝る前に何かを食べてしまうと、
むし歯になりやすくなる。

食べてしまったら、
必ず歯みがきをしてから
寝るようにこころがけたい。


●乳歯には「フッ素」が効果的

歯質強化のために有効なのが「フッ素」である。

最近の歯磨き粉には、
たいていフッ素が配合されている。

フッ素を含んだ水によるうがいや、
歯医者ではフッ素を直接、
歯の表面に塗布することも行われている。


歯質強化に使われるのは単体のフッ素ではなく、
「フッ素化合物」である。

具体的には、
フッ化ナトリウム(NaF),
モノフルオロリン酸ナトリウム(NaPOF:MFP)
などだ。

フッ素には、
再石灰化をうながす作用がある。

さらに、
歯を構成する「ハイドロキシアパタイト」の
結晶中に
フッ素原子が取りこまれると、
酸に対する抵抗力が強くなり、
むし歯になりにくくなるという。


「乳歯は永久歯よりもむし歯になりやすく、
進行がはやいので、
フッ素による歯質強化が大切です」(福田教授)。

フッ素配合の歯磨き粉を使う際は、
うがいの回数や水の量は少なめにし、
フッ素が口に残るようにすると効果的だという。


●キシリトールは歯をとかす原因にならない

最近は、
「キシリトール」による
むし歯対策もよく耳にする。

キシリトール入りのガムやキャンディー、
歯磨き粉も登場している。

キシリトールは甘味料だが、
砂糖と同じ「糖類」ではなく、
「糖アルコール」である。


むし歯菌は基本的に、
糖アルコールを使って酸やグルカンを
つくりだせないので、
むし歯の原因にはならないとされる。

甘さがあるので、
唾液の分泌をうながす利点もある。



キシリトールの摂取を習慣づけると、
むし歯をつくるミュータンス菌が
減ってくるという実験結果もある。

福田教授によると、
ミュータンス菌はキシリトールを取りこむが、
エネルギーとして利用できず、
元の形で排出する。

この過程でエネルギーを浪費するため、
これらのミュータンス菌の
活動性が弱まるという。


効果を得るには、
1日6~7グラムのキシリトールを
3か月程度は
摂取する必要があるとされる。

キシリトールによるむし歯予防が
普及しているフィンランドの
歯科医師会が推奨しているのは、
製品に含まれる甘味料(炭水化物)のうち、
50%以上がキシリトールで、
製品の総重量のほとんどを
キシリトールが占めており、
むし歯の原因となる糖類(砂糖など)を
含まないものだ。

これらは製品の成分表を見れば確認できる。


むし歯対策には、
「これだけをやっておけば大丈夫」と
いうものはない。

食習慣を改善するのと同時に、
定期的に歯医者の検診を受け、
助言をもらってみてはいかがだろうか。

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甘いもの好きの私には耳が痛い、
歯も痛い?です😋

歯医者でのギュイーンって音は
トラウマになります💦

寝る前の歯磨きだけは必須ですね😊