無庵日録 (1159) 入院生活の5ヶ月 | 無庵日録

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 会津八一先生の「学規」を規範としたい。▲ふかくこの生を愛すべし▲かへりみて己を知るべし▲学芸を以って性を養うべし▲日々新面目あるべし

2024/04/24 (水)

 自分史の1974年は初めて務めた企業から転職した33歳の若さであった。転職2年後にウイルス性肝炎に罹り5ヶ月の入院治療を受けたが50年前は効果的治療法がなく肝機能指数を慢性肝炎まで下げた時点で退院している。

 

 退院時体重は67Kgから52Kgまで落ちて主治医が妻に以後10年の寿命と伝えていた。姉から今後プレドニン(副腎皮質剤)は副作用が多いと聞いて中止、以後50歳でインターフェロン治療で完治するまで15年間も禁酒と歩行運動をよく続けたものと感心する。

 

 そのような5ヶ月の入院生活をどう過ごしたかふと思い出す。6人部屋で同室患者に交番所・捜査一課・捜査4課に勤めていた人達と出会い貴重な話を聴いている。南向きの明るい部屋で世話になった看護婦さん達は感じの良い人だった。

 

 肝生検という腹部に空気を入れて肝臓の一片を切取る検査には参った。それ以外は毎日ベッドに枕をタテに置いてヘッドフォンでCD音楽を聴き、左腕に点滴を受け右手で小説を読んでいた。自宅の書棚にあった未読の小説と古典音楽のCDである。

 

 5ヶ月で未読の小説を100冊ほど読みベートヴェンの弦楽四重奏曲やモーツアルトのハイドンセットを聴き続けていた。そんな経験もあってバッハに行き着いたのであろう。読書と音楽に集中出来た時間を過ごせたことで性格も変って行った気がする。