朝練で「1つ仕事が終わって帰って来るたびに強くなってる」と先生に言われました。先生は御託宣みたいなことを言うことがたまに、いやよくあります。今回の現場もいろいろきつかったからね、打たれたけど立ち上がるしかないからさ。強くなれてるならもうそれでいいや。
友達のZは、婚約寸前だった恋人とわりといやな形で別れたことがある。でも実は私はそれでホッとした。Zは、ひとりの時は本当に生き生きとして面白い人なんだけど、そしてたいていはシングルなんだけど、恋人ができるとその輝きがぱたっとなりをひそめる。なぜなんだろうと思っていた。でも幸せならよかったなあ、と思った。恋人からいろいろと制限されているみたいだった。私も会えなくなっていった。だから、やっぱり結婚をやめた、と聞いた時、じゃあまた遊べるねえ、と思った気がする。
彼女が結婚した人は、結婚前にも愛人がいた人だった。でも別れたと言っていたらしいし、本人が納得してるんなら、まあいいよね、と思ったけど、Zからはやっぱりシングルの時の輝きはなくなっていた。そして、案の定というか、男が別の愛人を作って、出て行った。友達はまた輝きを取り戻した。ここには書かないけど、こういう場合のわりと最悪な方のパターンのいろいろがあったみたい。だけど、彼女はやってのけた。私は同じ状況でもあなたみたいにうまく対処できる気がしないよ、と私が言ったら、「ううん、でもあいつ、クソみたいな男だったし。本当は結婚してからすぐにもうクソだって分かってたんだ。でも、途中で投げ出しちゃいけないって思って、だからもう少し頑張ってみたかったんだけど。結局さいごは私が振られた形だったんだよ」って。「でもあのおかげで、自分はなにがあっても大丈夫、必要な時は差し伸べてくれる手もあるし、なんか絶対大丈夫なんだって確信を得たことがすごくよかった」と言っていた。
彼女が彼女のいいところを損なわずにいてくれて本当によかった。一番しんどいときはやっぱり誰にも言わず、私ときたらパニック症候群になった彼女を笑わせすぎてかえって発作を起こさせてしまっていたらしい、と後から聞いたほど、なにもしなかった。「いつもと変わらず接してくれる人もそれはそれでありがたかったよー」と言ってるけど。いっぱい悩んで、できること全部して、言いたいこと全部言って、さっぱりして自分で終わらせて、元の自分に戻って前に進んだ彼女になんかありがとうって気持ち。
誰かが本当は持っている輝きを失っている時、「誰がそんなことをあなたにしたの!」と思う。もっと怒ればいいんだよ。爆発していいんだよ。抑え込まないで。誰かのために我慢なんてする必要なんて一切ないから。それから、あなたの中の輝きを、思い出してほしい。それだけは、あなたが守ってほしい。あなたに何があろうとも、あなたの中には宝物がある。それがあるからあなたの周りには、ちゃんと奇跡がたくさんある。
「宇宙のように深く、爆発するような生き生きとしたきらめきがそこにはあった。私のもやもやはそれを見たらすかっと晴れた。」
よしもとばなな「花のベッドでひるねして」幻冬舎文庫