今日は3歳より前から英語を始めたのに話さない場合について考えてみたいと思います。
0歳から語りかけをしたり、
英語サークルに通っていたり、
英語のプリスクールに通ったり、
動画やCDのかけ流しをしてきたり、
幼児英語教材を買って家で使っていたり、
色々な取組みをしてきたけれど、
まだ自分で文を作って話し始めない・・・
そんなケースも意外と多く聞きます。
どうしてなんでしょうか?
さまざまな理由があると思いますが、
主には、3つ考えられます。
子どもがインプットの要素に気付いていない
インプットが足りていない
発話する機会がなかった
以前の記事『インプットって何?』に書きましたが、
与えられるインプットは、
難しすぎてもダメ
易しすぎてもダメ
そして何より大事なのが、
子どもがそのインプットの要素に
気が付かないと
言語習得は起きにくいと考えます。
娘の発話例で言語習得の仕組みを説明します。
下の発話は、娘が2歳5ヶ月のときのものです。
- Can you pick it up package?
"Could you pick it up?(拾って?)"は、
スプーンやらコップやらを
わざとテーブル下に落とすのがブームだった娘に対して
わたしが毎日のように使っていた言葉。
拾う動作を娘に見せながら、
繰り返し言っていました。
そのため娘は"pick it up"を
チャンク(かたまり)で覚えていたと考えられます。
チャンクで覚えるということは、
一つ一つの単語の意味は分かっていないということ。
「pick up= 拾う」
「it = それ」
という 単語一つ一つの意味は、
この時点では分かっていなくて、
音としてしか認識していません。
[pikelup(ピケラップ)]= 拾う
こんな感じで
音のセットで覚えている感じでしょうか?
この時点で単独で意味を認識しているのは、
"package(小包)"だけ。
だから、
”Can you pick it up package?”
のような間違いをしているのです。
でも、
わたしや他の誰かとのやり取りを繰り返す中で、
"it"は「それ」という意味があることに気付きます。
それは例えば、
- Can you see it?(それが見える?)
- Is it hot?(それ、熱い?)
- It's a cat.(それは猫だよ)
というように、
色々な文の中でitを繰り返し耳にしたから、
itの役割を何となく気付くような感じ。
その役割に気が付いたら、
そこで "it"というインプットが内在化し、
自分の中での言語ルールを修正します。
そうして
"Can you pick up the package?"のように
正しい文を作れるようになるのです。
インプットを大量に与え続けても、
子どもがインプットの要素に
気が付かなければ、
習得には繋がりにくいと考えられるのは
こういう理由から。
動画やかけ流しで、
自分で気が付く子もいますが、
やっぱり大事なのは、誰かとの
インタラクションがあること。
インプットが与えられ、
そのインプットを使う場がある。
それを誰かから言い直されたり、
正しい文を繰り返し耳にすることで
この気付きが起こります。
のケースは、
この気付きが起きる状況が
足りなかった可能性が考えられます
じゃあ、どうすればいいのでしょうか?
まずはインプットのレベルを下げることを考えます。
(語りかけで例を出したので、その例で考えてみます)
"pick up"という
明確なインプットを与えるため、
代名詞は使わず、
(拾う動作を見せながら)Pick up!
(拾う対象物を見せながら)Chopsticks.
こんな風に子どもにより伝わりやすいように
情報(インプット)を噛み砕いて与えます。
動画やCD掛け流しも同じです。
子どものレベルに合っているか
難しくないか、
今一度 見直ししてみるといいかもしれません。
そして大事なのは、子供が間違えた時に
「間違えてしまった」と感じさせないこと。
ポジティブな返しというのは
間違いを否定するのではなく、
褒めながら 正しい文を入れていくこと。
「間違えてもいいんだ」と思えることが
次の発話に繋がるからです。