会社への貸付金にも相続税がかかるのですか? | 「儲け」のためにできること

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「いま俺が会社に貸してるお金が3,000万ほどあるよね。

そのままにしておいて良いのかな?」


「うーん、社長が貸しているお金は、

回収できないからといって放っておくと相続税の対象になってしまいますよ」

 

 

会社が10年以上前に大きなマイナスになった時に

社長が個人の通帳から会社に入れたお金、

会社からすると社長個人からの借金。

この借金をどうすればよいでしょうか?


①会社→社長への返済を免除する
会社側からすると借入金を免除してもらうと利益になります。

そうなると法人税がかかります


②このまま放置
このままの状態で社長がもし亡くなってしまうと貸したお金は

財産として相続税の対象になってしまい困ってしまいます。

 

そこで、ほとんど動いていない会社だったため社長と相談の上、

会社を清算することにしました。

目を付けたのは10年以上前に出した大きなマイナス約3,000万円。

 

会社を経営している方なら「青色欠損金の繰越控除」という制度は聞いたことがあると思います。

今だとマイナスになった年から10年以内に利益が出た場合、

利益と相殺してくれるという期限付きの制度です。

今回はこれがほとんどありませんでした。


相殺しきれなかったものは消えます。

この会社の場合は上記の3,000万円が控除できなかった分として消えてしまっています。


では期限が切れてしまって相殺できなかったマイナスはどうなるのか?
それはある条件をもとに復活します。

その復活の条件とは!
① 清算をすること
② 清算中に終了する各業年度終了の時点で全ての資産を処分し債務超過であること

※資産と負債が同額でも可


 


全ての資産を処分した最終的の形(貸借対照表)はこのようになりました。
資産(現金)100万より借入金(債務)3,000万の方が多いので、債務超過です。

 

 


① まず借入金を100万円返済する
② 次に2,900万円の借金を免除してもらう
③ 2,900万円は会社にとっては利益になるが、復活した過去のマイナス3,000万円と相殺
④ 利益を相殺したので法人税なし、借入金は免除したので相続税もなし

 

この時、くれぐれ手元に資産を残さないようにしてください。
債務超過ではなくなり、過去のマイナスと相殺できなくなってしまい、

法人税がかかってしまうことになります。

 

全て終わった後に社長より感謝の言葉をいただきました。
「お陰様で無駄な相続税がかからないようになり助かりました。ありがとうございました。」

 

決算書に社長からの借入金が載っている会社は、

返済、贈与、免除など組み合わせて早めの対応を考えてみてはいかがでしょうか。

 

担当 土肥 宏行