ウエンズ問題(解答) 行政法 20130814問題 行政書士試験 | 行政書士試験スマート勉強・合格法のブログ

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暑さに慣れてきたのでしょうか、

外出しても、カー!っと暑く感じません(あくまで、気休め程度です。暑いことは暑いです^^;)


勉強も同じです。慣れてきます。

ピシッと姿勢を正して、毎日コツコツ続けていけば、苦になりません。

むしろ、やらなければ落ち着かない気分になります。

受験勉強には、自分を律する力を養う要素もあるのかもしれません。



ウエンズ問題の解答です。


次の各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものはいくつあるか。



1.国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合,

  それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても,

  当該一連の行為のうちいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ

  当該被害が生ずることはなかったであろうと認められ,かつ,

  それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上

  賠償の責任を負うべき関係が存在するときは,

  国又は公共団体は,加害行為不特定の故をもって損害賠償責任を免れることはできないと解されるが,

  この法理が肯定されるのは,それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが

  国又は同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合に限られる。


 これは、正しいです。

 最判昭57.4.1が、本肢とほとんど同様の判断をしています。

 判例は、「国又は公共団体の…特定することができなくても」「一連の行為のうち…関係が存在するときは,

 国又は公共団体は,加害行為の不特定の故をもって国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を

 免れることはできない」としています。

 そして、この法理が肯定されるのは、「一連の行為を組成する…限られる」としています。

 …の部分は、肢の文章そのままです(以下の肢についても同様です)。

 正しい肢なので、本肢をそのまま理解してもらえれば大丈夫です。

 過去の類似問題として、

 平成24年(去年) 第20問 肢5、平成15年 第10問 肢1、平成5年 第35問 肢4があります。



2.裁判官による争訟の裁判については,当該裁判官に事実認定や法律解釈の誤りがあったとしても,

  それは上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべきものであるから,

  国家賠償法第1条第1項にいう違法な行為にあたるものとして争うことができるのは,

  そのような訴訟法上の救済が及ばない瑕疵に限られる。


 これは、誤りです。最判昭57.3.12です。

 裁判一般について、「裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど,

 裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような

 特別の事情」のあるときには、

 裁判官のした争訟の裁判に国家賠償責任が認められる可能性があるというのが判例です。

 本肢のように、訴訟法上の救済が及ばない場合に、争えるわけではありません。

 これは、国家賠償法の代表的な問題なので、正解出来た方も多いのではないでしょうか。

 過去に、平成5年、平成11年、平成20年と出題されています。



3.市が管理する道路に設置された防護柵から幼児が転落した事故において,

  当該防護柵は,その材質,高さその他その構造に徴し,通行時における転落防止の目的からみて

  その安全性に欠けるところがなく,

  当該事故が通常予測することのできない被害者の行動に起因するものであったといえる場合には,

  当該事故につき,市が営造物の設置管理者としての責任を負うことはない。


 これは、正しいです。

 国家賠償法上の「瑕疵」の判断基準についての判例(最判昭53.7.4)が、

 「通常の用法に即しない行動の結果生じた事故につき,被上告人は

 その設置管理者としての責任を負うべき理由はない」としています。

 ここでの被上告人とは、国側のことを指します。

 用法逸脱した場合には、「瑕疵」が否定される結果、国家賠償責任が生じません。

 過去問としては、平成22年 第20問 肢4があります。

 ウエンズ問題でも取り上げたことがあります(コチラ )。



4.国家賠償法第2条第1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは,

  営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい,そこにいう安全性の欠如とは,

  当該営造物を構成する物的施設自体に存する物理的,外形的な欠陥ないし不備によって

  一般的にその利用者に危害を生ぜしめる危険性があることを意味するから,

  このような危険性ではなく,その営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において

  その利用者以外の第三者に危害を生ぜしめる危険性があるというだけでは,

  国家賠償法第2条第1項の営造物の設置又は管理の瑕疵があるとはいえない。


 これは、誤りです。

 最大判昭56.12.16は、国賠法2条にいう公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、

 「通常有すべき安全性を欠いていること」としているので、本肢の最初の部分は正しいです。

 しかし、安全性の欠如、すなわち、他人に危険を及ぼす危険性のある状態がある場合、

 その危害は、

 「営造物の利用者に対してのみならず,利用者以外の第三者に対するそれを含む」としています。

 したがって、第三者に危害を生ぜしめるとしている場合で、

 瑕疵があるとはいえないとしている本肢は誤っています。

 平成24年(去年)の問題19が、ズバリこの判例について問いています。

 また、平成21年 第19問 肢5でも問われています。

 最近は、具体的事案の判例を問う問題が増えてきています。

 条文を押さえておくことは当然として、判例もきちんと読んでおきましょう。



5.国家賠償法第3条第1項所定の公の営造物の設置費用の負担者とは,

  当該営造物の設置費用につき法律上の負担義務を負う者を意味するから,

  公の営造物の設置者である地方公共団体に対し

  その営造物の設置費用に充てるための補助金を交付したにすぎない国が,

  当該営造物の設置費用の負担者として国家賠償法第3条第1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。


 これも、誤りです。

 最判昭50.11.28は、国賠法3条1項の「公の営造物の設置費用の負担者」について、

 「営造物の設置費用につき法律上負担義務を負う者のほか

  この者と同等若しくはこれに近い設置費用を負担し,

  実質的にはこの者と当該営造物による事業を共同して執行していると認められる者であって,

  当該営造物の瑕疵による危険を効果的に防止しうる者も含まれる」と解したうえで、

 設置費用の約2分の1を補助金として交付した国が

 「公の営造物の設置費用の負担者」にあたると判示しています。

 本肢は、責任を負うことはない、と常に責任を否定しているので誤りです。

 もっとも、この判例を知らなくても、国賠法3条1項を知っていれば、

 本肢のように責任を負うことはないといいきってしまっている点を捉えて、誤りと判断することができます。

 国賠法3条1項は、「費用を負担する者もまた」、と規定されているからです。

 平成7年、19年と過去に出題されています。チェックしておきましょう。



正しい肢は1と3ですので、正しいものは2つということになります。

問題の難易度をA(難しい)からD(易しい)に分けるとするならば、

今回の問題は、BとCの間くらいでしょうか(Cに近いです。)。


どれも過去に出題されており、知っているべき判例です。

ただ、肢1が少し細かいといったところでしょうか。

あとは個数問題ということを加味して、BとCの間くらいという具合です。


肢だけをみて解いてみよう → コチラ


以前の記事 にも書きましたが、国家賠償法は得点源となります。

しっかり復習しておきましょう!



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