ウエンズ問題(解答) 行政書士試験 20130529出題分 行政法(国家賠償法) | 行政書士試験スマート勉強・合格法のブログ

行政書士試験スマート勉強・合格法のブログ

行政書士試験に合格するための勉強法を書かせてもらいます。
受験生のモチベーションが上がってもらえたら幸いです。
法令科目が主眼です。





にほんブログ村 資格ブログ 行政書士試験へ
にほんブログ村

ポチッと、ご協力お願いします。




国家賠償法、3問目の解答です。

少し長い記事になりますが、よろしくお願いします。




1.警察官が,交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に,

  逃走車両の走行により第三者が身体等に重大な損害を被った場合,

  当該追跡行為は,上記第三者との関係では違法な職務執行といわざるを得ない。


 これは、正しくありません。

 判例(最判昭61.2.27)は

 警察官が「交通法規等に違反して車両で逃走する者をパトカーで追跡する職務の執行中に、

 逃走車両の走行により第三者が損害を被つた場合において、

 右追跡行為が違法であるというためには、右追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか、

 又は逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、

 追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であることを要するものと解すべき」

 としています。

 警察官の追跡行為が違法でない場合もあるので、

 違法な職務執行といわざるを得ないとしている本肢は正しくありません。

※ 平成24年度 行政書士試験 問題20 肢4に類似の問題があります。



2.検察官による公訴提起行為は,裁判で後に被告人が無罪となった場合には,

  検察官の故意・過失の有無を問わず国家賠償法1条による損害賠償責任を負う。



 これも、正しくありません。

判例(最判昭53.10.20)は

 「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけでただちに起訴前の逮捕・勾留、

  公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となることはない

  けだし、逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、

  必要性が認められるかぎりは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して

  犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないのであるから、

  起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、

  起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により

  有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当である」としています。

 (※ 「けだし」は、“なぜなら”と置き換えてください。)

 有罪と認められる嫌疑があると判断した過程が合理的であれば(故意・過失がなければ)、

 損害賠償責任を負わないので、本肢は正しくありません。

 なお、故意・過失の有無を問わず無罪判決により認められるのは、刑事補償(憲法40条、刑事補償法)です。

 ※ 平成21年度 行政書士試験 問題20 肢5に不起訴処分についての問題があります。



3.道路の防護柵を遊び場としていた6歳の子どもが,防護柵を超えて転落しけがをした場合には,

  被害者が通常の用法を逸した異常な行為をして損害を被った場合であるから,

  公の営造物の設置・管理の瑕疵が否定される。


 これは、正しいです。

 判例(最判昭53.7.4)は

 「国家賠償法二条一項にいう営造物の設置又は管理に瑕疵があつたとみられるかどうかは

  当該営造物の構造、用法、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して

  具体的個別的に判断すべきものであるところ、前記事実関係に照らすと、

  本件防護柵は、本件道路を通行する人や車が誤つて転落するのを防止するために

  被上告人によつて設置されたものであり、その性質、高さその他その構造に徴し、

  通行時における転落防止の目的からみればその安全性に欠けるところがないものというべく

  上告人の転落事故は、同人が当時危険性の判断能力に乏しい六歳の幼児であつたとしても

  本件道路及び防護柵の設置管理者である被上告人において

  通常予測することのできない行動に起因するものであつたということができる。

  したがつて、右営造物につき本来それが具有すべき安全性に欠けるところがあつたとはいえず

 としています。

 よって、本肢のような場合には瑕疵が否定されます。

 上記判例は続けて、責任を負うべき理由はないと判断しています。瑕疵を認めない以上、当然の結論です。

 瑕疵を否定するとしている本肢は、正しいことになります。




どうでしたでしょうか?

3週連続で国賠法の問題でした。

3週目の具体的事例を検討する判例の問題は、基本的には知らなければパッと答えが出ません。


しかし、過去にはいくつかの判例問題が出題されており、それを検討していけば、

判例がどういう場合に違法性や瑕疵を認めているのかを身に付けることができます。

そうすれば、見たことのない知らない事例であって、今までの判例理論からすると認められないだろうと、

自分で判断することができるようになります。


明日、3週連続で国賠法を出題した意図を書かせてもらいます。→コチラの記事 です。





この記事が、なんとなく役に立ったなァと思われた方は、

ポチッと、ご協力お願いします↓↓↓
にほんブログ村 資格ブログ 行政書士試験へ
にほんブログ村