「中国がなければ日本経済は破綻する。だから、譲歩しろ」と来るでしょうが大笑いです。
尖閣諸島に12隻の中国政府関係の船が近付き、100以上の都市で反日暴動が行われています。
まさに、戦前(この表現も大概アレですが)の中国そのままの状況になってきました。
中国側は、今後は主に「経済」を絡めて、
「日本にとって中国はかけがえのない存在だ。中国がなければ日本経済は破綻する。だから、譲歩しろ」
といういつも通りの情報戦を仕掛けてきて、
日本のメディアがホイホイと乗せられるパターンになると思いますので、あらかじめ数字を出しておきます。
早くも、中国共産党の機関紙である人民日報は「中国はいつ日本に対して経済カードを切るのか?」
というタイトルで、「日本はまたもう一つの10年を失い、20年後退する準備を進めているというのか」
「日本経済は中国の経済手段に対して免疫力に欠けている」「日本経済が倒れずに持ちこたえられたのはかなりの程度、対中貿易と対中投資の大幅成長によるもの」などと指摘しています。大笑いです。
【2011年 日本の対中・香港の輸出入と貿易収支(単位:十億ドル)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#vsChina
図の通り、2011年の日本の対中輸出はGDPの2.76%、対中輸入が3.13%、貿易黒字が▲0.38%です。
日本の対中輸出は香港を経由しているものが少なくありませんが、対香港の数値を加えるても、輸出が3.49%、輸入が3.16%、貿易黒字が0.33%。
すなわち、日本と中国(香港含む)の貿易が途絶すると、我が国のGDPは0.33%のマイナス成長となるわけです。確かに、対韓国の数値と比べると多少は大きいですが、それにしても「領土問題」「安全保障問題」で譲歩しなければならないような数値でしょうか。
日本が低成長に甘んじているのは、単に政府の政策的失敗でデフレから脱却できないためです。対中貿易収支(香港含む)の影響など、GDPの0.33%に過ぎません。自慢ではないですが、日本はデフレ深刻化により数%のマイナス成長など、平気で経験しております。
あるいは、
「貿易ではそれほど依存していないのかも知れないが、日本は中国に巨額の投資をしている。
中国共産党が日本資産を凍結すると、日本経済は壊滅する」
などと主張してくる人がいるかも知れません。
残念ながら、日本の対中直接投資の残高は834億ドル(11年末、以下同)で、全体の8.6%を占めるに過ぎないのです。対GDP比で言えば1.42%です。(ストックとフローを比較しても、目安程度にしかなりませんが)
そもそも、日本の資産接収などした日には、外資に依存している中国経済は終わります。
ちなみに、日本の対外直接投資の残高が最も大きいのはアメリカで、2755億ドルと中国のほぼ三倍の規模です。
さらに、アジアNIES(香港、台湾、韓国、シンガポール)が786億ドル、ASEAN4(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン)が724億ドルです。日本の対外直接投資残高全体から見ると、中国への投資は「ワンノブゼム」に過ぎないというのが真実なのでございます。
いずれにせよ、経済は安全保障に従属します。
経済を理由に安全保障を疎かにするなど、あってはならない話ですが、これを理解していない日本の「識者」たちは、中国共産党の意のままに、今後、「日本経済は中国に依存している!」
系の主張をしてくるでしょう。
あの人たちは別に中国共産党のスパイとかそういう話ではなく、単に頭が悪いのです。
頭が悪い連中に世論が引きずられ、安全保障が崩れるなど冗談ではありません。
結局のところ、政治がしっかりしていれば、中国とはいえ引き下がらざるを得ません。
安全保障について正しく理解している政権を誕生させない限り、中国との軋轢が終わることはないのです。
安全保障と経済|三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
【韓国経済】サムスン 水処理ビジネス参入へ[09/13]
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1347486455/
つづきは → こちらへ