テレビで映画『ロスト・イン・トランスレーション』がやっていたので観ていたら
CM明けからいきなり『ニュー・シネマ・パラダイス』の後半部分(しかもディレクターズ・カット版)が流れまして。
「えっ、おかしいな。チャンネル変えてないよな(イタリアのテレビはたくさんチャンネルがあって毎晩多くのチャンネルで映画が放映されている)。」
と、リモコンで番組情報をチェックしたらちゃんと『Lost in Translation』と書いてある。
ということは、今流れている『ニュー・シネマ・パラダイス』は間違いで、完全な放送事故なわけだな。
一体、どこまで間違ったまま放送し続けるんだろう?
と、思っていたら、画面が急に緊急時の静止画になり
『すみません。中断します』の文字が。
映画は『ロスト・イン・トランスレーション』に切り替わったものの、結局10分近く『ニュー・シネマ・パラダイス』が流れるという放送事故を生で体験することができました。
こういう放送事故は、イタリアではたまにあります。
とてもイタリアらしい。
せっかくなので 『ロスト・イン・トランスレーション』の感想を残しておきます(笑)。
予告編
あらすじ
ウィスキーのコマーシャル撮影のため来日したハリウッド・スターのボブ。彼は滞在先である東京のホテルに到着すると、日本人スタッフから手厚い歓迎を受けるが、異国にいる不安や戸惑いも感じ始めていた。さらに、息子の誕生日の不在を責める妻からのFAXが届き、時差ボケと共に気分が滅入ってしまう。一方、同じホテルにはフォトグラファーの夫ジョンの仕事に同行してきた若妻シャーロットが滞在中。彼女は新婚にもかかわらず多忙な夫にかまってもらえず、孤独を感じていた。ホテルで何度か顔を合わせたボブとシャーロット。2人はやがて言葉を交わすようになり、いつしか互いの気持ちを分かち合うようになるのだった。allcinemaより
この作品、アカデミー賞脚本賞を受賞したものの、日本では賛否両論らしくてですね。
批判の多くは、日本・東京の描かれ方が薄っぺらくてひどい、というもの。
そうかなぁ、僕は肯定的な意見を書いておきますよ(個人的には、03年当時の新宿が見られるだけでグッとくるわけですが)。
東京の賑やかで何もかもが揃っているけど、何もない感じというか。
こんなに人で溢れているのに、誰とも繋がっていない感じというか。
大都市だけど、空虚で感傷的な感じが上手く映像に出ていたと思うんですよ。
日本人像がひどく滑稽に描かれているという批判もありますけど、やっぱり欧米では見られない文化や習慣に欧米人は反応するわけで、そこは間違っていないんじゃないかなと。
僕には監督の愛情が感じられましたよ(ソフィア・コッポラ監督は来日した時の自身の体験を作品に反映させている)。
それから
東京を知る人ならば“場所の位置関係がおかしい”とか“深夜の設定なのに歌舞伎町の賑わいが明らかに深夜じゃない”とか、色々思うところはあるでしょう。
でも、そこ突っ込むのは野暮ってもんです。
『007/慰めの報酬』ではシエナの場面がありますが、シエナに住んでいると明らかに位置情報がおかしいって分かりますけど、知らない人は普通に楽しめますからね。
スカーレット・ヨハンソンとビル・マーレイ
キャストでいうと 冒頭のスカーレット・ヨハンソンのおしりですね。 これ、おっさん監督が撮ったら普通にエロい画になるところ、この女流監督が撮るからオシャレに映るという。それを分かって撮ってる。ずるい。女優をカワイく撮れる監督は、貴重です。
今やハリウッド女優のヨハンソンですけど、ブレイクする前?の一番良い時期を作品におさめているのも素晴らしい。
主演のビル・マーレイは、この作品を観るまではあまり好きな俳優ではなかったんですけど、本作をきっかけに好きになりました。くたびれたおじさんを演じさせたら最高です。
コミュニケーションにおいて、言葉はもちろん重要だけど
言葉の裏側にある感情こそが大切ということですね(知った風な口調で)。
なんてことは、言葉ではっきり言いません。
言葉にしなくても確かに伝わるものってあるでしょ?
言葉にすることで、逆に失われてしまうものがあるかもしれないから。
と、言われているような、淡々としてあいまいで繊細な作品でした。
ハリウッド映画なのに、フランス映画の香りがしました。
英語版では、日本語が話される部分は字幕なし。
日本人が何を話しているか分からない、英語圏の人には登場人物達の戸惑いを共有できる作りになっています。
ロスト・イン・トランスレーション [DVD]
4,104円
Amazon |
Lost in Translation
630円
Amazon |