地域包括ケアシステム~多職種連携の実際~ | ふれあいのブログ

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渡島半島のほぼ中央にあり、駒ケ岳、横津岳、大沼国定公園がある自然豊かな七飯町で、介護予防と東洋医学のコラボレーションを追求する新しいタイプの通所介護施設&治療院「ふれあい」の紹介です。

代表の新部です。

 

昨今,鍼灸師・マッサージ師や柔道整復師による地域包括ケアシステムへの参入や多職種連携の声が聞かれなくなりましたが,それもその筈です。そもそも,参入や連携する必要が無いからです。全国的にも,そのような動きが無いのは当然です。労力を払い,形だけ参入しても何のメリットもないので誰もやらないだけなのです。

ここで,少しおさらいしておきましょう。地域包括ケアシステムとは,医療・介護・住まい,生活支援,介護予防などを地域包括支援センターやケアマネージャーが中心となり,うまく連携していきましょうというものです。ここでいう医療とは,いわゆる病院を指すもので,鍼灸院・マッサージ院・整骨院を指すものではありません。

 

また,医療と介護の連携とは,主に入退院時の連携のことであり,入退院時の情報共有や,退院後の生活の支援のことを言います。つまり,病院での”医療”と自宅での”介護”をうまく連携させましょうということです。

 

一方,多職種連携などと謳い,地域包括支援センターに顔を出す,ケアマネージャーに営業に行く,医師や医療関係者に近づくため研修会に参加する,或いは主催する,などということをしても,彼らは鍼灸マッサージ柔整業界への斡旋業者ではありません。そのような下心は見透かされており,僅かばかりの接触を試みても,益々,胡散臭い連中だと思われるのが関の山です。

 

平成18年に介護予防という制度が始まった時も,何とか介護保険の一部に入れないかと試みた時もありましたが,治療院をやりながらできる介護予防事業は,殆どボランティアレベルの代物であり,様々な制約を勘案すると,とても現実的なものではありませんでした。

今回の地域包括ケアシステムを鑑みた総合事業という制度が始まりましたが,治療院や整骨院をしながらできる事業はなく,仮に一部治療院を閉めて事業を行ったとしても,得られるのは光熱費程度の公金であるため,現実的には参入しても意味がありません。

 

現実に介護事業をしていると,毎日数百人の利用者を担当するケアマネージャーとのやり取り,新規や更新のたび開催されるサービス担当者会議,毎月行われる地域ケア会議,入退院の度行われる病院との情報共有,多種多様な医療介護系の勉強会,毎年開催される医師を含んだ多職種連携の研修会などという業務に追われます。

 

このような状況の中で訪問鍼灸マッサージについてもケアマネージャーから問われる事は多々あり,制度の説明の他,業者についてもお話しすることもあります。その中で,お勧めできないやり方や治療院について,はっきりと申し上げる場合もあります。

 

このように本当の意味で多職種連携しようとするならば流れの中に身を置く以外なく,蚊帳の外から少しの接触を試みても大きく変わることはないのです。

 

鍼灸マッサージ柔整業界には昔から,ありもしない埋蔵金をチラつかせて求心力にしようとする動きは,何時の時もありました。また,それに乗ろうとして神輿を担ぐ輩も多く見てきました。しかし,いつの時も都合の良い金脈があった試しはありません。ほとんどの場合,一部の者が僅かな旨味を独占するだけです。

 

医療関係者やケアマネージャーにどうやって媚を売るかというよりも,患者さんの満足する治療,必要とされる治療院,働きやすい職場とは,どのようなものか考える方が得策なのではないでしょうか?