音楽がある限り/デニー・ザイトリン | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


東京で雪が降っています。

私は仕事のため午前0時ぐらいに帰宅したのですが、

雪に足を取られそうになりました

 ↓

スロウ・ボートのジャズ日誌-snow


近所の帰り道で撮影した風景。

ちょっとECMのジャケットみたい?

いや、手ブレしただけか・・・


ニュースによると、

東京の都心で雪が積もったのはこの冬初めて。

2センチ以上積もったのは平成20年2月以来、

3年ぶりだとのこと。

この勢いだと、もっと降りそうですから、

朝になったら交通への影響も出ているかもしれません。


それにしても、今回の雪は湿っていて重いですね。

帰る途中、私に向かって電柱から雪が落ちてきました。

幸い、傘をさしていたので直撃は免れたのですが、

頭の上で「ドスン」という音がしました。


札幌出身の私としては、

サラサラとした粉雪が懐かしい。

軽くてはかないのが雪、

という感覚があるものですから。

飛び込みたくなくようなふわっとした雪なら

歓迎なのですが・・・


ということで、今回は寝る間も惜しんで(?)、

粉雪がジャケットになっている一枚をご紹介しましょう。

ピアニスト、デニー・ザイトリンの「音楽がある限り」です。


ザイトリンは1938年4月、シカゴ生まれ。

彼が異色のピアニストとされるのは、

その経歴のためです。

精神医学を学んだ彼は、医師とジャズ・ピアニストとしての

活動を両立させてきました。

それゆえに多作ではありませんが、

独特のブルース・フィーリングとフリーにも通じたプレイで

玄人好みのファンを唸らせてきました。


「音楽がある限り」(原題:As Long As There's Music)は、

日本のレーベルが制作しました。

そのせいか、全体的にザイトリンにしては

おとなしい内容です。

物足りないと感じるファンもいるでしょうが、

私は冒頭の表題曲を聴くためだけに

このCDを持っています。

粉雪の舞にも似た、やや奥ゆかしいメロディ。

聴くたびにノスタルジックな気分になります。


1997年12月5日、NYでの録音。


Denny Zeitlin(p)

Buster Williams(b)

Al Foster(ds)


①As Long As There's Music

J・スタインの作曲したスタンダード。

少々重みを漂わせたザイトリンのピアノが

静かにワルツを弾くところに、絶妙な味わいがあります。

ザイトリンのように一癖ある奏者が

自分の好みよりも音楽の美しさを優先させる。

そんなところが聴く者に気持ちよさを与えるのです。

ピアノ・ソロに入ると、少しずつピアノのテンポが上がり、

アル・フォスターの軽快なドラムが控えめに

これに合わせます。

次第に、トリオ全体に躍動感が増していき、

階段を上がっていくように解放の喜びが満ちていく。

これほど軽やかなのに、

愛情に満ちた演奏はありそうでない。

ジャケットのように静かでありながら、

美しい一瞬をとらえた音楽だと言えるでしょう。


いま窓の外を見たら、雪がしんしんと降っていました。

朝になったら靴底にしっかりした溝がある

「冬靴」が活躍しそうです。

普段は帰省のときぐらいしか使わないものです。


粉雪だったら「キュッキュッ」という雪を踏みしめる

音を楽しめるのに・・・

どんな光景が朝、広がっていることやら。