ライブ・アット・ニューポート/マッコイ・タイナー | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


夕方、食料品の買い出しのため、

近所に新装開店した「中野マルイ」に向かいました。

地下にスーパーが入り、何かと便利なのです。


マルイに入ると、すぐ目に入ったのが女性の行列。

若い人から妙齢の方まで、ずらっと並んでいるのです。

行列ができていた店は「ゴディバ」。

そう、バレンタインデーを前にして、

みなさんチョコレートを買おうとしていたのです。


行列を見て私が考えたのは、

「チョコレートが欲しい」ということではありません

(もちろん、そういう気持ちが

 全くないと言えば嘘になりますが・・・)。

このブログで「マイ・ファニー・バレンタイン」について

書いていないことを思い出したのでした。


ここ2年ほど、2月に「マイ・ファニー・バレンタイン」の

ことを書いてきました

 ↓

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10450159387.html

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10206795559.html


いま読み返してみると、街中の風景を見て

バレンタインデーが近づいているのを

実感していたようです。


今年はこの「年中行事」を

きょうまで意識していませんでした。

おそらく、仕事が例年になく忙しく、

バレンタインデーがらみの広告や店が

全く目に入っていなかったのだと思います。

それゆえに、「マイ・ファニー・バレンタイン」についても

書くのを忘れていました。


まあ、書くのが義務であるわけではないのですが、

良い演奏が多いスタンダードなので、

今年も取り上げたいと思います。

マッコイ・タイナー(p)の

「ライブ・アット・ニューポート」に収録された

「マイ・ファニー・バレンタイン」です。


マッコイ・タイナーはこの当時、

ジョン・コルトレーン(ts)のグループに所属していました。

ライブで自己のクインテットを率いていますが、

オリジナルのライナーによると

相当急ごしらえで、問題を抱えたバンドだったそうです。


マッコイはチャーリー・マリアーノ(as)と

ボブ・クランショウ(b)とは初共演。

クラーク・テリー(tp)は楽器を車に置き忘れ、

他の人から借りる始末。

そして、リーダーのマッコイ自身は

当日の朝まで別の場所で演奏をしており、

睡眠時間は3時間だったそうです。


レコーディングすることも突然聞き、

マッコイは相当頭にきたようですが、

なぜか演奏は極めて順調に進みました。

それぞれの力量が確かだからなのか、

ヤケクソだったのか・・・・


収録曲の中で「マイ・ファニー・バレンタイン」は

マリアーノの節回しもあって、

泣きだしそうな表情を持ったものになっています。

異色の切り口ですが、これがなかなかいい。

「忘れられた」バレンタインデーにも似合いそうです。


1963年7月5日、ロード・アイランドでのライブ録音。


McCoy Tyner(p)

Clark Terry(tp)

Charlie Mariano(as)

Bob Cranshawd(b)

Mickey Roker(ds)


②My Funny Valentine

チャーリー・マリアーノのアルト・サックスが

冒頭から「むせび泣いて」います。

やや歌謡曲が入っていると

言ってもいいかもしれません。

マイルス・デイヴィスのようなクールな演奏ではなく、

明らかに情念が入っているのです。

クラーク・テリーと交代でメロディが提示された後、

マッコイのソロへ。

彼のピアノは非常にリリカルで、

この演奏で全体の「品格」が保たれています。

一つ一つの音が非常にクリアで力強いのに、

全くうるさくならず、美しく流れていくのが彼らしいところ。

続いてマリアーノが登場。

こちらは内に炎を秘めているのがありありで、

時にねちっこいフレーズを交えてのソロで

強い印象を残します。

最後はテリーがメロディをじっくりと歌いあげて

クライマックスへ。

組み合わせの妙が生んだ、

「合ってないようで合っている」

不思議なトラックです。


「マイ・ファニー・バレンタイン」も演奏者によって

全く変わってしまうのがジャズ。

歌詞の内容は「そのままの君がいい・・・」

というものですが、

マリアーノのように情念たっぷりに迫られると

戸惑ってしまいそうです(笑)。

みなさんはどんな愛情表現をするのでしょう?