アルハンブラ/アーマッド・ジャマル | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


みなさんは初夢を見たでしょうか?

お正月の間、私は熟睡してしまい、

夢を見ませんでした。

そろそろジャズカフェの店主になっている

初夢を見てもいいはずなのですが・・・・


明日から仕事ということもあり、

現実が次第に近づいてきています。

ぎりぎりまで夢見心地でいたいということもあり、

LPを中心に音楽三昧と決め込みました。


その中の一枚がアーマッド・ジャマル(p)の

「アルハンブラ」だったのですが、

偶然にもこの作品は「夢」と関連していました。


ライナー・ノートによると、「アルハンブラ」というのは

1961年にジャマルがオープンさせたクラブのこと。

店を持つことが彼の長い間の夢で、

内装にはツアーで訪れた極東~中東の影響が

見られたそうです。


当然、クラブのオープニングを飾ったのは

ジャマル・トリオの演奏でした。

このアルバムは、トリオのライブを収録したもので、

「ホーム」でのリラックスしたプレイを聴くことができます。


ジャマルの基礎データをちょっとだけ紹介しましょうか。

1930年7月生まれで、80歳になった今も

精力的に活躍しています。

シカゴを拠点に活動していた彼を有名にしたのは、

50年代にマイルス・デイヴィス(tp)の

「バンドに入らないか」という誘いを断った(!)ことです。

「シカゴを離れたくなった」というのが理由とされていますが、

実際はどうなのでしょう?

いずれにせよ、絶妙の「間」を生かすジャマルのプレイが

マイルス好みだというのは納得できます。


「アルハンブラ」でもトリオの一体感、

そして「さっぱりとしながら、艶がある」独特の

音世界を聴くことができます。


1961年6月、シカゴ「アルハンブラ」でのライブ録音。


Ahmad Jamal(p)

Israel Crosby(b)

Vernell Fournier(ds)


A面-⑤Snowfall

クロード・ソーンヒルの作曲。

静寂の中、雪が降る様子を描写した名曲だと

私は思っています。

そして、この曲の意図を汲んで見事に「音」にしたのが

アーマッド・ジャマルなのです。

ベースとドラムが落ち着いたリズムを刻む中、

ジャマルは必要最小限の音しか奏でません。

時に弱く、時に強く・・・・

その展開は全く「読めない」もので、

粉雪の舞い方が予見できないのと良く似ています。

あたかも星の光が瞬くかのように、強い印象を与えたり、

突然消えてしまう音の群れが、

全体を通して聴くと「雪の姿」に結びついていくのです。

2分30秒に満たない演奏ですが、「素晴らしい!」の一言。

なお、「スノーフォール」の名演についてはこちらもどうぞ

 ↓

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10204135925.html


B面-③Autumn Leaves

「スッスッ」と進むブラシの上を、ピアノが駆け抜けるように

「枯葉」のメロディを奏でます。

急速調から次第にスピードを落とす展開にスリルがあり、

一気に引き込まれます。

続くソロでは、再びリズムのテンポが上がり、

低音が強調された抽象的な音列が提示されます。

この「壊れそうで壊れない」ギリギリのセンスが

ジャマルのすごいところです。

うまく言葉に表現できず、ごめんなさい・・・


B面-④Isn't It Romantic

ジャマル得意の「節約型ソロ」が展開された演奏。

こちらはメロディ~ソロに至るまで、

完全に統一されたムードで展開されているのですが、

使われる音数が少ない。

それでも、飽きることはありません。

トリオの息が完全に合っており、

ジャマルが強いコードを弾くところは、

ドラムもちゃんとアクセントをつけているからです。

トリオのまとまりがいかに良かったのかを窺えるトラックです。


他にも、A-④Love For Sale などの快演があり、

店を開いたジャマルの好調ぶりが伝わってきます。


やはり、夢を実現した人のパワーってあるんですね。

新しい年の仕事を前に、「自分がやりたいこと」

(ジャズカフェ開店?)を考えさせる

きっかけとなった一枚でした。